3443通信 No.362
美味!『横手やきそばフェスティバル』堪能レポ
秘書課 菅野 瞳

図1
これぞ秋晴れ!イベント日和と言わんばかりの快晴に恵まれた2024年9月28日(土)、秋田県横手市にある、秋田ふるさと村で行われた恒例行事『横手やきそばフェスティバル』(図1)に行って来ました。
横手やきそばと言えば、誰もが知るB級グルメの代表です(余談になりますが、宮城県のB級グルメ代表は当院東側50メートルの中国菜館「まんみ」が発祥のマーボー焼きそばだそうです)。
横手やきそばは、静岡県富士宮市の『富士宮焼きそば』、群馬県太田市の『太田焼きそば』と並び、日本三大焼きそばのひとつに数えられています。
食いしん坊の私は勿論食したことがありますが、横手やきそばに横手やきそばフェスティバル……調べれば調べる程に奥が深いもだのと気付かされます。
2つの横手やきそば?
横手のソウルフードと言える横手やきそばをいただく前に、勉強熱心な私が調べた横手やきそば情報をお伝えしたいと思います。
まずは、横手やきそば発祥のルーツからと言いたいところではありますが、その前に一つ。横手やきそばを全国にPRするとともに、横手にあるやきそば店の魅力向上を図ることを目的として誕生した民間組織『横手やきそば暖簾会』のHP上にある表記のお願いについて綴りたいと思います。
“横手やきそば”と“横手焼きそば”。
この2つの表記にお気付きでしょうか? 地名である横手の後の“やきそば”を、平仮名で表記するか漢字を交えて表現するかの違いです。
どうやら横手やきそばの表記は、どちらでもOKということではないようです。
正しい表記は“横手やきそば(平仮名)”。
もともとは“焼きそば”と表記されていましたが、横手市が焼きそばによる町興しを始める際に、他地域との差別化と地名である『横手』の地域名を目立たせる効果を期待して“横手やきそば”の表記統一を図っているのだそうです。
横手やきそばを愛する方々はお間違いのないよう、是非彼らの想いを酌んでいただき、表記統一へのご協力をお願いしたいと思います。
恥ずかしながら私も、横手やきそばの一ファンではあるものの、“横手やきそば”の表記には留意しておらず、とてもいい勉強をさせていただきました。
横手やきそばの発祥と由来
さて、いよいよここからは横手やきそばをいただく前の第一歩……横手やきそばの発祥と特徴についてお伝えします。
なんと横手やきそばの発祥は、第二次世界大戦直後(1945年)まで遡ります。
終戦直後、横手市で屋台のお好み焼屋さんを営んでいた男性が、お好み焼き用の鉄板を用いた新たなメニューを模索したことが始まりと言われています。
当時市内で販売されていたお好み焼きは、販売単価が安く、子どもたちの数少ないおやつでもあったそうです。
このお好み焼きに変わるメニューとして横手やきそばは検討され、市内の麺業者と焼きそば麺づくりの試行錯誤が何度も繰り返され、奮闘すること数年を経て、ついに1953年頃に現在の横手やきそば麺が完成しました(図2)。

図2
初めは屋台での販売が主流だったものの、手ごろな価格と美味しさで爆発的な人気商品となり、屋台販売から店舗での販売に移行され、今では秋田県代表のB級グルメとなっています。
最盛期には店舗数が、市内だけでも100店舗を超えたというのですから、人気の程が分かります。
皆さんは、横手やきそばの特徴と言えば、何を思い浮かべますか? 私はやはり、焼きそばの上に堂々と鎮座する半熟の目玉焼きを思い浮かべます。半熟の黄身を一刺しすると、焼きそばにトローンと流れだすあの感じです。ウスターソースのやや濃い目の味をマイルドにし、また味変にもなり、いい仕事をしてくれます。
侮ることなかれ! 味変アイテムの半熟目玉焼きを筆頭に、通常の焼きそばでは紅ショウガが添えられますが、横手やきそばにはなんと福神漬けが彩りを添えます。福神漬けを添え物にすることで、子供が食べやすくなるよう工夫されているのだそうです。
よし、これで横手やきそばのことは、失礼のないよう一通り学びましたので、いざもぐもぐ実食タイムといたします。横手やきそばフェスティバルに参加が叶う店舗はわずか4店舗になっています。
横手やきそば暖簾会の調査員が、2カ月もの時間をかけ食べ歩きをし、審査をします。
麺の焼き加減やソースとのバランス・価格・お店での対応などが厳しくチェックされ、この予選会を勝ち抜いた上位10店舗が、推奨店として四天王決定戦に出場できます。この四天王決定戦と言うのが、2023年に改名した『横手やきそばフェスティバル』の根源です。
上位4店舗に絞られたお店が、晴れて1年間を通じて横手やきそば四天王店として名乗ることが出来るのだそうです。
厳しい予選会を経て、見事本年度の横手フェスティバルに名を連ねた4店舗をご紹介します。
1.スキーハウス『スフィーダ』
まずは、ステーキハウス『スフィーダ』さんです。元祖横手やきそばの他、アレンジレシピとして、彩りきのこ横手やきそばを提供します。
2.居酒屋『魯句彩亭(ろくさいてい)』
続いては「魯句彩亭(ろくさいてい)」さんです。元祖横手やきそばの他、トマトソース横手やきそばを提供されます。
3.9年連続受賞の『藤春食堂』
そしてお次は、9年連続四天王を受賞されているお店『藤春食堂』さんです。元祖+αのメニューは、麻婆横手やきそばです。
4.ドライブイン『皆喜多亭(みなきたてい』
そしてラスト1店舗は『皆喜多亭(みなきたてい)』さんです。こちらのお店は、2種共にアレンジレシピ(?)である肉玉カレーやきそば&横手オムやきそばを提供されます。

図3

図4
フェスティバルで提供される横手やきそばは、通常時のハーフサイズになっているため、横手やきそばのはしご食べが叶いそうです。
この中で、私が堪能させていただいたメニューは……図3の左から『藤春食堂』さんの麻婆横手やきそば、『皆喜多亭』さんの肉玉カレーやきそば、図4の左から『魯句彩亭』さんの横手やきそば、そして一番右手が『スフィーダ』さんの横手やきそばになります。
4店舗それぞれの元祖横手やきそばをいただいた方が、お店の個性を把握するには良かったのかもしれませんが、私の大好きな麻婆そしてカレーを使い、アレンジされた焼きそばの誘惑には勝つことが出来ませんでした。
さて、両手に花のごとく横手やきそばに囲まれた私(図5)が、持ち前の大口で一口また一口と食べ進め、4種の中で一番のお気に入りに輝いたのは……? 麺自体のもちもち感は4店舗の中で一番低かったものの、おかわりをして食べ続けたい一品、それは、魯句彩亭さんの横手やきそばでした!!

図5
こちらは、これぞやきそば!という、王道の万人ウケ間違いなしの焼きそばではないかと思います。
私が思っていた以上に、他3品にも個性があり、麺のもちもち感がダントツで光ったのは、スフィーダさんのやきそばでした(図6)。

図6
藤春食堂さんの麻婆やきそばは、宮城県が誇るB級グルメである麻婆焼きそばとは一線を介していて、ソースで甘辛く味付けをされた麺に、麻婆のソースがほどよく絡み、こちらでしか味わうことができない一品でした。
皆喜多亭さんの肉玉カレーやきそばは、想像以上にカレーの風味が強く、勿論美味しいのですが、横手やきそばを味わっている感が薄くなってしまったのは、残念でした。
横手市内には、まだまだ数多くの横手やきそば店があります。
私は、一日のうちの一食をソース焼きそばにしたい程の焼きそば愛の持ち主ですが、秋田に出向く際には、是非横手やきそばマップを片手に、食べ歩きをしたいと思います。