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3443通信 No.358

 

『東北絆まつり』観覧レポ

秘書課 菅野 瞳 


 去る2024年6月8日(土)~9日(日)の2日間、東北の県都6市の祭りを結集した『東北絆まつり』が開催されました。
 2011年3月11日に発生した東日本大震災の鎮魂と復興を願い、同年より2016年までの間は、東北6県都で持ち回り開催された『東北六魂祭』が行われていましたが、2017年より『東北絆まつり』と改称して引き継がれました。

 本年の開催は、東北6県都を巡り巡って2巡目のスタートとなることもあり、人々が行きかう仙台駅構内や公共交通機関の車内では、数カ月も前から大々的に告知されていました。
 東北の六大祭りを全て観覧されたことがある方は、どれだけいらっしゃるでしょうか? 国内外を落ち着きなく飛び回る私でも、東北6県の祭り観覧は、岩手県盛岡市の“さんさ踊り”、山形県の“花笠まつり”、そして杜の都仙台市の“七夕まつり”に留まっています。

6県色に彩られた六大祭り
 ここで、仙台の地で結集する東北六大祭りの紹介をしておこうと思います。まずは北から青森県は言わずと知れた“ねぶた祭”です(図1)。

図01 青森ねぶた
 図1


 このお祭りは、明かりを灯した巨大な灯籠(ねぶた)を、山車に乗せて街中を練り歩く大変華やかなお祭りです。なんと青森のねぶた祭りは、仙台の七夕まつりの灯籠流しが原型とも言われているのだとか。
 一般的には、ねぶた祭と言う呼称が有名ですが、弘前市などでは“ねぷた祭り”と称し、また五所川原市では“立佞武多祭り(たちねぷたまつり)”と称するのだそうです。
 それぞれに持ち合わせているであろう特色の重みを感じますが、東北三大祭りに数えられるねぶた祭りは、是非一度足を運び観覧したいお祭りの一つです。


 次いで秋田県は“竿燈まつり”です(図2)。このお祭りは厄よけ・五穀豊穣などを願う行事として長い歴史を持ちます。

図02 秋田竿灯
 図2


 竿燈全体を稲穂に、連なる提灯を米俵に見立て、絶妙なバランスで竿燈を掌・額・腰・肩などに移しかえる妙技が見所なのだそうです。先に紹介した青森ねぶた祭りと共に、重要無形民俗文化財に指定されています。

 

 続いては秋田県のお隣、岩手県盛岡市の“さんさ踊り”です。東北のお祭りの中では一番歴史が浅いようですが、2007 年6月に“世界一の和太鼓の数”の祭りとして、ギネス世界記録に登録されています(図3)。

図03 盛岡和太鼓
 図3


 パレード終了後に行われる『輪踊り』には、個人も飛び入り参加ができる為、祭りのフィナーレを前に、尚一層の盛り上がりを見せるのだそうです。


 次いで山形県は“花笠まつり”です(図4)。花笠と言えば「めでためでたぁ~のぉ♪」というあのフレーズの花笠音頭が有名です。

図04 山形花笠
 図4


 花笠という名前の通り、県の花でもある『紅花』をあしらった花飾りがついた笠は踊り手たちの必需品で、花笠音頭に合わせ華麗に宙を舞います。


 そして近年、私が群を抜いて一番足を運んでいるであろう福島県の“わらじまつり”です(図5)。この祭りのルーツは、羽黒神社に大わらじを奉納する『暁まつり』にあります。

図05 東北絆「わらじ2」
 図5


 例年2月に行われる信夫三山暁まいりの大わらじと、例年8月上旬に行われ日本一の大わらじを担いで練り歩く、この福島わらじ祭りと合わせて一足分のわらじとなり、より一層の健脚を祈願するのだそうです。
 この大わらじは、長さ12メートル、重さが2トンにも及び、その規模は日本一と称されています。そして最後は、2024年東北絆まつりの舞台となっている、宮城県仙台市の『七夕まつり』です。

 藩祖伊達政宗公の時代から続く日本一の和紙の祭典で、色とりどりの和紙で作られた絢爛豪華な笹飾りが青竹に飾られ、街全体を美しく飾ります。七夕は7つ飾りと呼ばれる7種の飾りで出来ているのが特徴です。七夕飾りは、ほぼ吹き流しで構成されていると思っていましたが、吹き流しは織姫の織り糸を象徴していて、短冊は学問や書の上達を願い、紙衣は病や災いの身代わり、または裁縫の上達を願い、そして折鶴は長寿。巾着は富貴と貯蓄・商売繁盛を願い、投網は豊漁を、くずかごは清潔と倹約を願うのだそうです。

 お囃子のあるお祭りではないため躍動感には欠けますが、風で揺れる吹き流しに風情を感じ、芸術鑑賞をするかのような趣きの異なる祭り鑑賞が出来ます。祭りと一言で言えども、十人十色の特色があり、東北6県の祭りを一度に観覧することができる東北絆まつりは、とてもとてもお得な1度で6度おいしい祭りなのではないかと思います。

 さて残念ながら私は、2日間にわたって開催された東北絆まつりの最終日、パレードの前後のみの観覧になりましたが、初日には皆な大好きブルーインパルスが伊達政宗公が見守る青葉山公園会場を中心とした仙台市内上空を華麗に展示飛行し、祭りに花を添えたようです。
 “ブルー”が飛行した時間帯には、ハロ(太陽の周りにぼんやりと見えるリング状の明るい部分のことで、暈(かさ)や日暈(ひがさ)とも表現される虹色現象)という大変レアな気象現象が起きており、絶好の写真撮影が出来たと喜びの声が溢れていました。

 天候にも恵まれ、また絶好のお祭り日和となった本年の東北絆まつりには、初日だけで25万5千人、パレードがあった翌日の9日は、31万7千人が来場しており、2日間合わせての来場者数は過去最多に上ったということです。
 これまでに最も来場者数が多かったのは、前回仙台市で開かれた2017年の45万2千人で、今回はこの時より12万人も増えており、過去最多を大幅に更新しました。

 それもその筈です。パレードを一目見ようとつま先立ちをして背筋を伸ばし、腹筋に活を入れ頑張りましたが、自身の予想を遥かに超える人・人・人の数に、流石の私も狼狽してしまいました。
 身長が2メートルあればなぁ、パレードも悠々自適に、頭一つ高い所から観覧できただろうにと儚い想いを抱きながら、必死でパレードの写真撮影に勤しみました。

 大勢の観客に見守られる中、大トリである盛大なパレードも終わり、本年の東北絆まつりは閉祭式を迎えました。
 2025年に開催予定の東北絆まつりは、持ち回りが岩手県盛岡市となりますが、次回は例年の持ち回り開催を一時休止し、2025年6月に開かれる大阪・関西万博に参加することが発表されました。

 東北以外での開催は、これが初めての試みとなり、何よりも観客の注目を浴びるパレードは、6月14日~15日に披露されるのだそうです。東北絆まつりの大阪出張?(笑)も、是非6県でタッグを組み、万博という国内外に発信ができる大きな場で、東北の持つ魅力をアピールして頂きたいなと思います。

 今年の夏は、ラニーニャ現象による大雨と猛暑が予想されていますが、夏本番を前に、東北を愛する人々の、ひと際熱い想いを感じることができました。

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