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2024年9月 No.355

 

仙フィル楽団員のヘンリー・タタルさんからプレゼントを頂きました

秘書課 菅野 瞳


 桜も満開のピークが過ぎ、花が散って葉桜が楽しめる時期へと移り変わる2024年5月の大型連休。多くの医療機関がお休みになる中、当院はゴールデンウィーク(以下GW)を始め、土日祝日の診療を長らく続けており、救急車対応を含め毎日100名にほど近い患者さんがお見えになります。

 とくにお休みの日に限って体調を崩してしまい、急を要する症状だった場合には多くの方が開いている医療機関を必死になって探すことになります。当院の院長は、こうした症状に悩む患者さんのためにも、まだまだ頑張って診療に臨まねばならないと、殊に大型連休の時分には鉢巻きを締め直して診療にあたっています。

 世間がお休みムードに沸き立つなか、院長に嬉しい出来事がありました。

 当院がサポート会員として支援している仙台フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリニストであるヘンリー・タタル氏から、なんと嬉しいことにご夫婦デュオとして2枚目となるCD『ARIA』を頂いたのです(図1、2)。

図01
 図1 奥様と共演したCD

図02
 図2 サイン入りのポスター


 ご紹介が遅くなりましたが、タタル氏は中央ヨーロッパに位置するスロバキア共和国(図3)のご出身で、現在は杜の都仙台を代表する仙台フィルハーモニー管弦楽団の第一ヴァイオリニストとしてご活躍されています。
 皆さんも“チェコスロバキア”という国名を耳にしたことがあると思いますが、ここでタタル氏の生まれ故郷でもある、スロバキアという国の変遷に触れておきたいと思います。

図03
 図03 ヨーロッパのほぼ中央に位置するスロバキア


 チェコスロバキアという国は、1918年から1992年まで中央ヨーロッパに存在した連邦国家でした。現在のチェコ共和国とスロバキア共和国とで構成されており、首都は現在のチェコ共和国の首都であるプラハでした。
 1985年の『プラハの春』事件を経て1989年に起こったビロード革命によって、チェコスロバキアでの共産主義体制が崩壊。その後分離の動きが進み、1993年1月1日、チェコスロバキアは連邦制を解消し、チェコ共和国とスロバキア共和国に分離・解体されました。
 中欧に位置するスロバキア共和国の東隣には、現在ロシアとの紛争状態が続くウクライナがあります。タタル氏は隣国ウクライナ支援のため、ピアニストである奥様と共に度々チャリティーコンサートを開催されています。コンサート会場には、人道支援のための募金箱を設置し、ほぼ全額を在日ウクライナ大使館に送られています。

 ひと昔前になりますが、東松島市で行われたチャリティーコンサートにウクライナ人の親子が招待され、感謝の念を述べている記事を目にしたことがありました。
 その記事は、故郷を思い出すウクライナの国歌とともに、宮城県のご当地ソングと言っても過言ではない“青葉城恋唄”が演奏され、来場者は手拍子と共に聞き入ったという内容のものでした。

 ウウライナ人の親子にとって、自国から遠く離れた場所で、自国に想いを馳せ聞き入ったであろうタタル夫妻が奏でる演奏が、どれだけ心に沁み、どれほど元気づけられたことか……。記事を読んで、私は心を揺さぶられたことを思い出しました。

 仙台フィルの楽団員のお一人としてだけでなく、祖国(と隣国ウクライナ)を思いやり案ずる演奏者として、心に響く音色を届け続けていただきたいと思います。

 タタル氏の益々のご活躍を、心から祈念しております。

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