2024年8月 No.354
初体験‼ 東欧ウクライナ料理店『ボルシチ』
秘書課 菅野 瞳
河北新報社が、毎週木曜日に発行しているフリーペーパーに、『河北ウィークリーせんだい』があります。オープンしたばかりのお店の情報や、近日予定のイベント情報など、様々な情報を得ることが出来る情報冊子です。
少々時間が経過してしまいましたが、4月初旬に発行されたウィークリーのグルメ紹介コーナーに、ウクライナ料理を提供するお店の紹介がありました。
そのお店は、宮城県北東部に位置する石巻市で営業をされていた『ボルシチ』というお店です。仙台市内の一等地、アエルビルの向かいにあるTHE GATEというビルの2階に、昼の時間帯だけ間借りをするかたちで営業されています(ビルの1階部分は、肉のいとうさんの鮮やかな店構えです。図1)。
図1
なんとこのお店は、毎週土曜日の僅か1日のみ、11時から15時までという、とてもタイトな営業時間になっています。つい機を逃し食べ損ねてしまうと、翌週まで持ち越しになってしまうという難度が高いお店です。2024年3月9日にオープンを迎え、早4カ月になりますが、私が足を運んだ時分には常連さんと思しき面々が、ひっきりなしに来店されていました(図2)。
図2
初来店となる私が、お店の外観の写真を撮影していると、大変お茶目~な店主さんがお店の看板横でマスクパフォーマンス?(図3)をして下さいました(笑)。マスクNOマスクMANここにあり! ですね。大変光栄なことに、店主さん直々にテーブルまでアテンドをしていただき、いよいよウクライナ料理との対面です。
図3
今後メニューを増やしていく予定ですが、今はこのランチメニューがお勧めになっていますとご提案を頂き、お店一押しのウクライナランチを注文しました。
ウクライナ料理は初試みの旨をお伝えすると「では是非このケフィルも飲んでみて下さい」とのこと。
ここは勿論言われるがまま……郷に入っては郷に従え精神で、お勧めのケフィルドリンクもいただくことにしました。
待つこと1分未満(笑)。
店内はカウンターが7席程に、テーブル席が2脚分程度なので、決して広くない店内ではありますが、それにしても注文から提供までのスピード感には吃驚しました。
侮れなかった『ケフィル』
まず運ばれてきたのは、飲むヨーグルトにしか見えない、でも侮ってはいけないですよと言われたケフィルです(図4)。
図4
私は正直、飲むヨーグルトというものが、牛乳同様に苦手なのですが、ここは取材根性を見せねばと頑張りました。
まずは酸味? 甘み? を確かめる為、ケフィルを鼻に近づけてみます。んっ? 甘みを感じるような香りは一切感じられません。味の想像が全くつかない中で、恐る恐る一口。えっ? 薄い(笑)、そして少しすると、舌がピリピリとしてきます。コールドドリンクなので、火傷というのはあり得ませんが、店員さんが仰った「侮るなかれ!」とはこのことでしたか、と妙に納得しました。
ケフィルを持ったまま、私が首を傾げ不穏な表情を浮かべていると、店主の奥様(日本人の奥様です)から一言。
「私もケフィル、苦手なんですよ」と。あっ、私だけではなかった、という安堵感が芽生えました。
このドリンクを、心底美味しいと思う方がいるのかしら? とは思いましたが、腸活には功を奏するであろう酸味があって甘みがなく、微炭酸でシュワシュワとしているケフィルは、記憶に残る斬新な味わいでした。
ウクライナという国
さてここで、私がいただいたウクライナ料理について述べる前に、日本人にはあまり馴染みがないであろうウクライナという国について紹介しておこうと思います。
ウクライナは、東をロシアに西を欧州連合(EU)の国々に挟まれた人口4千万人を超える国です(図5)。面積は日本の1.6倍にもなり、小麦が沢山できることから“欧州のパンかご”と呼ばれているのだそうです。
図5
先にウクライナは、日本人にとってあまり馴染みがない国と綴りましたが、目を凝らして地図をよく見てみると日本は大国ロシアの東隣に位置しており、そのロシアを挟んだ隣の国がウクライナになる為、遠い国のようで案外ご近所さん? と思わされます。
そう考えてみると、大国ロシアの大きさたるや……というところでしょうか。
そのロシアとは現在、終わりの見えない紛争状態が続いています。言語や文化が近しいことから、“兄弟国”と称されていた両国間の紛争は、連日のように報道されていますが、一般市民の犠牲者、ウクライナ全土に空襲警報などという言葉が出る度に、本当に心が痛みます。無益な戦争が、一日も早く終戦に向かい、ウクライナに平和が戻ることを祈るばかりです。
さて私も、ウクライナへの貢献と称して? いただいた名物料理の数々を紹介させて頂こうと思います。
飲むオードブル『ソリャンカ』
ケフィルドリンクに次いで提供されたのは、飲むオードブルとも呼ばれ、胡瓜のピクルスが決め手になっている『ソリャンカ』(図6)というスープです。細かく刻まれた野菜たちをチェックしていると、スライスされたレモンを見つけました。口の中で最後に残る爽やかさの正体はこれかぁ~。このレモンが、さりげなく良い仕事をしています。
ウクライナ風ハンバーグ『カテリャーテ』
そして、ワンプレートに集約された数種類のウクライナ料理。
まずは、ウクライナのハンバーグと呼ばれる『カテリャーテ』(図7)に手を付けます。脂肪分が少ないせいか、私にはハンバーグというよりも、鶏のつくねのように感じました。特段かける調味料もなく、うっすらついている塩味でいただきました。
図7
炊いた“そばの実”『グリチカ』
そして主食は、そばの実を炊いた『グリチカ』(図8)です。噛めば口の中でプチプチとする食感があり、ソバの実の味が濃厚なことに驚きました。この感覚は、蕎麦湯を飲んだ時以来? かもしれません。
そして、プレートを華やかにしてくれていた、玉ねぎのピクルス(図9)。言われなければピクルスだなと分からない程の優しい酢漬けになっていて、お酢が大好きな私には、ちょっと物足りなさがありました。
図8
図9
私は今回、生まれて初めてウクライナ料理をいただきましたが、素材の味を壊さぬように過剰な手を加えず、生かそうとする味付けが特徴だなという印象を受けました。賛否がはっきり分かれるかな? と感じたウクライナ料理ですが……是非再訪時には、欧州のパンかごと呼ばれる本場のパンと共に、ロシアではなくウクライナが本家本元のボルシチをいただきたいと思います。
再訪はあれども、侮れないケフィルドリンクは何度口にしたところで侮れないドリンクだと思いますので、これだけはご勘弁願いたいと思います。
最後にウクライナランチですが、週によりスープが異なります。奇数の週にはボルシチが、偶数の週にはソリャンカが提供されていますので、お間違いのないように来訪されて下さい。ウクライナ料理を食べて、健康になりましょう!!