2024年6月 No.352
水彩画と随筆55
絵・文 渡邉 建介
院長 三好 彰
はじめに
私の従弟である渡邉建介先生より、著書「水彩画と随筆」を拝受しました。渡邉先生は2011年に大学を退職後、その記念として描きためた水彩画をまとめた1冊目の画集を出版されました。
渡邉先生は、生涯を通じて水彩画を描き続けると決心し、2冊、3冊と版を重ねられて2019年に4冊目の発行と相成りました。
ご自身が訪れた世界各地の風景を、彩り豊かな水彩を用いて情感あふれる作品に仕上げられています。
本誌では、渡邉先生の珠玉の作品の数々をシリーズでご紹介いたします。
作品名「サン・マルコ寺院」
初めてのベニス。まずサン・マルコ寺院を訪れた。9世紀にエジプトから運ばれた聖マルコの遺体を収めるために立てられた寺院だ。ゆっくり中を見学して外に出た。サン・マルコ広場だ。ここはヴェニスの中心だ。世界中から沢山の人がこの広場に集まっていた。季節によってはこの広場は水位が上がり水浸しになるそうである。幸い我々が訪れた時は水位が低く、広場を自由に歩き回ることが出来た。敬虔なカソリックの教会だが観光客は不遜だ。
短パン、Tシャツ、サンダル履きといういでたちでこの広場は賑わっていた。寺院を囲むようにドカーレ宮殿、行政長官府が建っている。いまはカフェ、宝石店、ベネチアングラスなどの店に占拠されている。この広場に立つとかつての行政長官になったような気がしてくるのは私だけであろうか。