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2024年1月 No.347

 

訪れた人たち
~28年来の患者さま~


 先日、28年前に左耳の突発性難聴で当院を受診した患者さんが来院されました。
 当時、その方は夜に突然めまいと吐き気を催され、左耳が飛行機に乗った時のようなピーンとする感覚を覚えたそうです。

 翌日、泉区の内科を受診し点滴と注射で症状は落ち着いたようですが、さらに翌日もめまいと吐き気で歩けない状態となってしまい当院を受診されました。
 さっそく聴力検査を実施したところ左耳の聞こえが顕著に低下しており、すぐに仙台市内の脳神経外科へ紹介し、その日の内に入院となりました。 

 入院加療中、その患者様から以下のようなお手紙を頂戴しました。

「おかげさまで、すぐ診察を受け、その日に入院をし、ただいま治療に専念いたしております。先生、ありがとうございました。
 病室からは新幹線の走るのが見え、朝・夕の車のラッシュの中、のんびりと入院生活にしたっている自分に、しばしの休養と感じております。
 必ず左耳の聴力回復を願いつつ、これからの人生のためにも、絶対必要な左耳を治して帰ります。」

 後日、脳神経外科からの治療結果では左耳の聴力が10dBほど改善したことが当院のカルテに記載がされておりました。

 それから28年後の2023年11月、患者さんが再び来院されました。

 今年、卒寿を迎えられたとのことで「年齢とともに聞こえが悪くなりまして……」と相談を受けました。聴力検査をしたところ、加齢に伴う聞こえの低下がみられました。その旨をお伝えしたところ、ご本人より「補聴器の装用を検討したい」と相談を受けましたので、近くの補聴器屋さんをお勧めしました。
 お話を伺うと、28年前に治療を受けたことで少しでも耳の聞こえが改善したことに感謝しており、まだまだ日常生活を楽しみたいとの想いから、思い切って当院をふたたび受診されたそうです。

 クオリティ・オブ・ライフ(人生の充実)の向上には、患者さん自身の強い想いが不可欠だと思います。
 もちろん、そうした患者さんの想いに応えられるよう、私たち医療従事者は全力の努力を惜しみません。

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