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2023年11月 No.345

 

秋の味覚を楽しむ
秋の朝日町あけび料理と空気神社ツアーレポ

院長 三好 彰


はじめに
 芸術の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋。
 人それぞれに秋の楽しみ方は色々とあると思いますが、やはり秋にしかない味覚との出会いは格別なものがあります。
 今年は例年になく残暑の長い年になりましたが、ツアーが実施された2023年9月28日は20℃後半の気温と比較的動きやすい気候となりました。

全国生産量の9割を生産!!
 まるまるとしたたわわな薄紫色の実が、樹上からいくつもぶら下がっています(図1)。
 ここは山形県朝日町のあけび農場。全国生産量の約9割がここ朝日産に集中しており、シーズンになるとあけび狩りが楽しめるようになっています。野山に生えたあけびよりも大きく、見るからに美味しそうな色艶の良い実が収穫されて、販売用の箱に詰められていました(図2)。
 また、他の畑には盛りを迎えた巨峰が鈴なりに実を付けたまま、収穫されるのを今かと待ち望んでいるようでした(図3、4)。

図01
 図1

図02
 図2

図03
 図3

図04
 図4


空気に感謝を!! 自然崇拝が生んだ空気神社
 神社仏閣のない、世にも面白い空気を祭る神社が、この“空気神社”です(図5)。
 アウトドア施設Asahi自然観の敷地内に作られた空気神社は、1975年に朝日町の町民だった故・白川千代雄氏が、人にとって生きていくのに欠かせない空気に対する感謝を忘れないために、空気を祭るための創設を提案したことがきっかけで実現したモニュメントです。
 白川氏の存命中には実現しませんでしたが、その言葉を覚えていた町の有志による町興しの一環として造られた空気神社は、ブナが生い茂る森の中に5メートル四方の鏡面仕上げのステンレス(本殿)が設置されるのみで、屋根や柱などの建物の一切がありません(図6、7)。

図05
 図5 木のトンネルを通ると……

図06
 図6 林に囲まれた不思議な空間が

図07
 図7 空気を祭る空気神社


 また、本殿までの参道には宇宙を創る5元素である木・火・土・金・水を表した石柱のようなモニュメントが並んでいます(図8~12)。

図08
 図8 木のモニュメント

図09
 図9 火のモニュメント

図10
 図10 土のモニュメント

図11
 図11 金のモニュメント

図12
 図12 水のモニュメント


 空気神社を拝観すると時間は丁度お昼時になりました。
 敷地内にあるホテルasahi観のレストランでは、本ツアーの特別メニューであるあけび料理を堪能しました(図13)。


図13図13b
 図13 ツアー謹製のあけび料理


食料増産のため桑畑から水田へ
 黄金の稲穂の一歩手前といった風景が広がる椹平棚田(くぬぎだいらたなだ)は、戦時中に食料増産するために桑畑だった場所を開田した歴史があります(図14)。当時は大型重機もなく周辺の地区住民をかき集めての工事となり、水入れがされたのは工事開始から2年後の1945年6月のことです。
 現在は、遺したい日本の原風景として、1999年に農林水産省が定める棚田百選に選出され、棚田の保全のため有志による稲作が行なわれています。

図14
 図14 日本でも稀になった棚田の光景


軍需物資だったワイン製造の拠点“朝日町ワイン”
 ワインと言えば料理のお伴と言える代表的なアルコール飲料ですが、実は第二次世界大戦中にワインの醸造過程で生まれるロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)と呼ばれる結晶が、軍事用の電波探知機や水中聴音機の部品として利用できるということで、その生産を目的として朝日町ワインが創立されました(図15)。
 ブドウ畑には、赤ワインの原料となるブラック・クイーンという品種のブドウが収穫を待っていました(図16)。
 山形県には四季が変わる度に足を運んでいますが、訪れる地域によってさまざまな楽しみ方があり、何度来ても飽きることはありません。

 さて、次はどこへ行こうかな? 

図15
 図15

図16
 図16

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