2023年7月 No.341
3443世界写真展㉗
八幡平に潜むドラゴンアイ
図1(2023年6月8日、院長撮影)
秋田県と岩手県にまたがる自然豊かな八幡平。
その頂上付近には春先から初夏にかけてしか見られない幻の景色があります。
まるで天を睨む龍の目のように見えることから「ドラゴンアイ」と呼ばれる、世にも不思議な光景が楽しめます(図1)。
その場所は、八幡平山頂近くにあるレストハウスから遊歩道を600メートルほど登った先にある鏡沼。本来はまん丸く形成されるドラゴンアイですが、これも自然の神秘に頼る部分が大きく今年はやや“ジト目”のような形で青空を睨んでいました。
その絶景に至る行程は、図2のように降り積もった雪上に沼の水が染み出して出来たもので、それが水位の上昇とともに雪上の凹凸が大きくなり、最終的に沼の水に囲まれた浮島のように真ん丸の“目”が出来上がるとのこと。
図2 ドラゴンアイの形成過程
八幡平の頂上付近には数多くの湖沼群(図3)がありますが、これらは全て9000~5000年前に発声した水蒸気爆発によって形成された火口に水がたまったもので、本来は富士山のような台形状の山体(成層火山)が噴火により吹き飛び、緩やかな傾斜の楯状火山(アスピーテ)のような見た目に変わったとか。そのため登山初心者でもそこまでの苦労はなく山頂に辿り着くことが出来ますが、久々の登山はかなり体にクルものがありました(図4)。それでもこの季節に咲くキヌガサソウ(図5)や霞がかった岩出山などの景色は、苦労に見合った美しさが感じられました。
図3
図4
図5
図6