2023年2月 No.336
東北三大荒祭りの聖地・室根山レポ
秘書課 菅野 瞳
年始早々のドライブ日和となった2023年1月5日(木)、休診日を利用して当院の院長が、一関市の観光スポットでもある“室根山”に行って来ました(図1)。
図1 道中に立ち寄った払暁を迎える松島湾
室根山の標高は895mで、山頂からは太平洋や早池峰山が見渡せ、快晴の日には遠く金華山を望むことができ、大パノラマが広がります(図2、3)。
また室根山は、ほぼ山頂付近まで車で出向くことが出来るため、観光客に優しいスポットになっています。
図2 北上高地が一望できます
図3 雪に包まれる室根山の山頂
室根山の2大祭り
室根山と言えば、有名なお祭りが2つあることをご存知でしょうか。
まず1つ目は、5月下旬から6月上旬に行われる「つつじまつり」です。
室根山は山全体にツツジが自生しており、その数は約20万本と言われています。この時期には山頂から、赤い絨毯を敷き詰めたような光景を拝むことが出来るのでしょう。
そして2つ目の祭りは、10月の最終金曜日から3日間通しで行われる「室根神社特別大祭」です。
この祭りは、養老2年(西暦718年)に紀州(和歌山県)の熊野から熊野大社の御神霊を勧請して以来、連綿として行われてきたものです。分かり易く言うなれば、離れている神様や仏様に対し、こちらに来て頂くように祈願し、途切れることなく続けてきたお祭りということです。
ひと昔前は、多方面で旧態を固く伝承し、継続する祭りが行われていましたが、時代の流れにより消えていった祭りが多い中、室根神社特別大祭は1300余年の歴史があります。室根神社特別大祭は、、東北名代の三大荒祭りの1つに数えられています。ご参考までに、三大荒祭りは他に宮城県塩釜市塩釜神社が毎年3月10日に行う「帆手祭り」、そして福島県相馬市の毎年7月末の3日間をかけて行う「野馬追祭」です。
室根神社特別大祭と野馬追祭は、共に国重要無形民俗文化財に指定されています。
荒祭り! 室根神社特別大祭!
室根神社特別大祭……いったいどんな祭りなのか、みていくことにしましょう。まずこの祭りの舞台となる室根山の8合目にある室根神社は、本宮と新宮の2社が奉られています(図4)。室根神社は姉妹の神様を祀っているため、女性の祭り参加は出来ないのだそうです。
ということは、幾ら人何倍も荒々しい性格の私でも、女性であるが故参加は出来ないということです(笑)。
図4 神社の入口前にて
この祭りは、旧暦で閏がある年の翌年(2~4年に1度)に行われ、先に記したように3日間続きます。
まず初日には袰(ほろ)・南流神社参拝・馬場祓いなどが行われます。初日には山車の出番がなく、3日間行われる祭りの無事を祈る日なのだそうです。
そして2日目には荒馬・袰揃い・忌夜祭が行われ、いよいよ最終日にあたる3日目には、御魂し・御興御下りといった神事が執り行われます。
最終日の一番の目玉は、室根神社で本宮、新宮の両神輿(みこし)への御魂(おみたま)移しが行われた後、午前4時に2つの神輿が祭り場の仮宮を目指して下り、激しい先着争いを繰り広げることです。以前はこの先着争いに本宮が勝利すると、豊作。逆に新宮が勝利すると、大漁だと言われていたのだとか。
昨今は、同着! 五穀豊穣! が暗黙の了解になっているのだそうです。
仮宮に神輿が安着すると、市長なども参列して最後の神事が行われ、次いで舞姫の舞「浦安の舞」が奉納されます。神輿はしっかりそれを見届けてお山に帰り、3日間続いた祭りに終止符が打たれるのだそうです。
岩手県の小さな町で、絶やすことなく代々受け継がれてきた室根神社特別大祭。現実に目を向けると、後継者問題や経済的問題などが山積みなのだそうです。それでも地域住民が工夫をこらし、一人一人が一生懸命に役目をこなすことで守り続けられています。大変だけれど大切なこと、引き継がねばならぬこと……伝承というものの大切さが分かりました。
最後に、室根地域の全住民及び将来を担う子供たちに対して行ったアンケート調査にて、後世に残したい地域資源として「室根神社特別大祭」が第1位に選ばれたそうです。上記のことからもこの祭りは、室根地域住民の心の拠り所になっているのだと思います。一関市が誇る素敵な一大スポット「室根山」。特別大祭には参加が出来ないので、是非つつじの赤い絨毯が見られる時季に、参拝に出掛けてみたいと思います(図5、6)。
図5 山頂付近にある天文台の電波塔
図6 特別天然記念物のニホンカモシカと遭遇
室根神社特別大祭について描かれたマンガ
お試し版は こちら から。
もし続きが気になる方は、室根まちづくり協議会にお問い合わせください。
URL:https://murone-machikyo.com/ (公式)