2022年11月(No.333)
論文「難聴児に対する水泳指導」(耳鼻と臨床)
Swimming instructions for children with hearing impairment
三好 彰*
Akira Miyoshi
大沼直紀**
Naoki Ohnuma
三邉武幸***
Takeyuki Sambe
*三好耳鼻咽喉科クリニック, Miyoshi ENT Clinic, 1-34-1 Izumichuo Izumi-ku Senndai-shi, 981-3133, Miyagi, Japan
**東京大学先端科学技術研究センター, Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo, 4-6-1 Komaba, Meguro-ku, 153-8904, Tokyo, Japan
***昭和大学スポーツ運動科学研究所, Showa University Research Institute for Sport and Exercise Sciences, 2-1-1 Hujigaoka, Aoba-ku, Yokohama-shi, 227-8518, Kanagawa, Japan
この度、耳鼻と臨床誌に『三好 彰:難聴児に対する水泳指導. 耳鼻 68: 308-316, 2022』が掲載されました。
まとめ
スイミング・スクールにおける水泳指導の難聴児に与える精神的影響、ならびに難聴児の平衡機能未発達などへの身体的影響を議論した。
ワールデンブルグ症候群による高度難聴の1症例においては、平衡機能未発達に好影響が推測され、さらに地域社会への溶け込みも促進されたものと判断できた。
全国難聴児を持つ親の会へのアンケート調査では、調査法の限界から平衡機能改善は示唆されるに留まった。
それ以外の面では水泳指導は、難聴児親子にさまざまの好影響を与えることが判明した。ただしそれらの利点については認識が行き渡らず、難聴児はその福音を必ずしも十分に享受できていないように思われた。今後、より一層の地道な調査が重ねられ、社会一般に難聴児の水泳指導に関する啓蒙が行き渡る必要がある。
Ⅰ.はじめに
難聴児は末梢平衡感覚器障害のために、一般の児童に比して平衡機能の発達が遅いとされる1)2)。しかしこの未発達が中枢神経系の代償機能によって補われること、および脳に可塑性のある早い時期に平衡機能の訓練が行なわれればそれが促進され得ることも、同時に示唆されている1)2)。一方難聴児およびその親は、本人のコミュニケーションの困難さや生活領域が難聴児関係のみに留まり勝ちとの理由から、いわば世界の狭くなる可能性が否定できない。
著者らは、母親と共にスイミング・スクールに通うことによって平衡機能が改善し、さらに地域社会への溶け込みが促進されたと考えられる、ワールデンブルグ症候群による高度難聴の1症例を経験した3)。
加えて著者らは、全国の難聴児を持つ親の会へ難聴児の水泳指導に関するアンケートを実施、その実態を調査した4)。
Ⅱ.症例と調査対象・方法・結果
(ヘルシンキ宣言 人間を対象とする医学研究の倫理原則に沿ったものである)
1. 症例とその経過
症例1;38歳・男子
(1)受診までの経緯
1984年の生下時より、特有の青色虹彩と部分的白髪の存在から、ワールデンブルグ症候群5)と診断されており、難聴の可能性を指摘されていた。生後4ケ月の時点で、昭和大学耳鼻咽喉科におけるABRの結果から、高度難聴と判明した。生後6ケ月のとき、父親の仙台市への転勤に伴い、著者らの元へ紹介された(図1)。
(2)当院受診後の経過
著者らは、聴覚面での管理と共に、症例1の身体的発育の相談や両親を含めた転勤後の地域社会生活の改善を目的として、「宮城県難聴児を持つ親の会」を紹介した。その甲斐もあって、両親はそれまで誰一人知人のいなかった仙台市に馴染むことができ、難聴児親の会の役員を勤めるまでに至った。
(3)水泳の活用とその成果
また水泳は生後10ケ月から、スイミング・スクールへ通うという形で始めた。症例1はその後、再び父親が転勤となる1988年3月まで、週2回の訓練を受けた。
当初症例1は、立てこそするもののまだ歩けない状態であり、母親共々水に慣れることから始めた。当然レッスン中は補聴器を使用できないので、その内容についていくことができず、結果的にスクールのクラスは落第を重ねた。しかし、症例本人にも両親にも、それは問題ではなかった。
そして、①ヘルパー(腕に付ける浮袋)を装着してのばた足、②母親と手をつないで水へ潜り、水中で目を開けること、③ヘルパー無しで2~3m泳ぎ、母親の胸に飛び込むこと(図2)、④スタート台から飛び込むこと、などが順々にできるようになっていった。
両親から見た、症例1におけるスイミング・スクールの具体的成果は、以下のごとくであった。
・日常生活において、徐々に体のバランスが良くなっていった。2歳過ぎにはすでに高い所から飛び降りたり、狭い塀の上を歩いたりできるようになっていた。
・スポーツとしての水泳を規則正しく行なうことによって、良く食べ良く眠るという習慣が身についた。
・母親も一緒に泳ぐので、難聴児を抱えて何かとストレスの多い母親の気晴らしにもなった。
・他のスクール生は健聴なので、慣れるに従い本症例自身も健聴児とのコミュニケーションを工夫するようになってきた。
・幅広く、友人を作ることができた。スクールに通うことによって親同士のつながりも得られ、地域社会への溶け込みが一層容易になった。
(4)再受診時の検査結果
症例1は2010年5月2日、著者らの下を再受診した。
その折の検査所見を、図4に示す。日常生活では補聴器は使用せず、手話を中心にコミュニケーションを行なっている、とのことであった。バランスに関しては、中学校在席時の剣道体験で蹲踞が不可能だったエピソードなど、右側CPの影響は無視し得ないように思われた。
図5 2010年来仙時の写真
2. アンケートの対象と方法
症例1の経験を元に、他の難聴児が当時盛んであった水泳ブームの福音をどのように活用し得ているのか、1989年にアンケート調査を実施した。
(1)対象
全国の難聴児を持つ親の会会員の中で、わが子に水泳を習得させた経験のある会員40家族。
(2)アンケート内容
・水泳を始める前の、本人の体のバランスはどうでしたか? また、水泳を始めてからの体の発育やバランスの発達はどうだったでしょう?
・他の、水泳を習っている健聴児との交流関係はどうでしたか?
・親子の精神衛生の面で、水泳はどういう影響を与えてくれたでしょう?
・親子の地域社会への溶け込みという面から見て、水泳開始前後の変化はどうだったでしょう?
・その他
3.結果
水泳の好影響と判断された回答をA、好影響は無かったと判断された回答をB、その項目には該当しなかった回答をC、と判断して一覧表とした(表)。AとBとの比較において、ほとんどの項目でA>BもしくはA≧Bとなり、水泳が難聴児にかなりの影響を与えていることが、推測できた。以下、各項目ごとに具体例を示す。
(1) バランス
A;5.0%, B;57.5%, C;37.5%
※ただし、水泳開始年令6歳未満の22症例では、
A;9.1%, B;50.0%, C;40.9%
同じく6歳以上の17症例では、
A;0.0%, B;70.6%, C;29.4%
症例15;7歳・男子
2歳時、化膿性髄膜炎に罹患した。3歳時難聴に気付かれる。4歳より水泳開始。
「2歳時髄膜炎に罹患し、首が座らなくなる。4歳になっても腰がふらふらして階段も手摺り無しでは降りられない状態でした。訓練のため水泳を始め、何ケ月かするとバランスがとれるようになりました。」(両親のアンケート回答より抜粋,以下同)
(2) 体力
A;40.0%, B;30.0%, C;30.0% (症例は省略)
(3)交流
A;57.5%, B;27.5%, C;15.0%
症例16;7歳・女子
1歳時、難聴検出。3歳より水泳開始。
「補聴器を使用していないので会話は難しいですが、結構ふざけあったりして楽しんでいます。コーチの指示がわからない時は、他の子の行動を見ながらついていってます。」
(4)自信
A;45.0%, B;2.5%, C;52.5%
症例2;12歳・男子
2歳時に難聴を発見され、6歳より水泳を開始した。
「子どもがいきづまったときは、聞こえないので他の友達より遅くなるけれど、頑張って努力すればすぐに追いつくと励ましました。‟あなたは聞こえないので他の友達より何倍も努力が必要”ということ、そして‟続ける努力”を教えたいと思いました。頑張って学校の水泳大会の代表になって、友達も認めてくれるようになりました。本人も自信がついたようです。」
(5) 自立
A;22.5%, B;0.0%, C;77.5%
症例11;15歳・女子
「補聴器が使えない状況の中で目や感覚で周囲のことを判断する、しかも親はそばにいない、そうした能力は必要ですし、自立心を育てる上でも大切なことだと思います。」
(6) 意欲
A;47.5%, B;0.0%, C;52.5%
症例33;8歳・男子
「精神力がついてきたように思う。つらくても苦しくても最後まで一生懸命頑張る気力がでてきた。」
(7)集中力
A;5.0%, B;0.0%, C;95.0%
症例13;7歳・女子
「コーチの指示を見ていないと理解できないこともあり、‟よく見ているように”といつもアドバイスしている。・・・・・・順番を待っている間に他の子の泳ぎを見て把握し、ほとんど指示は的確につかんでいる。自分の順番が来るまで待ち、その間もボーッとせずにいるということをしっかり学んでいると思う。」
(8) 呼吸法の改善
A;10.0%, B;0.0%, C;90.0%
症例14;8歳・女子
「‟Mちゃんの声は高度難聴のわりにきれいだ。たぶん小さいころから水泳を習っているので、息の出し方・止め方の調節が身についているし、腹筋もきたえられているのだろう”と言われたことがあります。」
(9) 社会的不利
A;12.5%, B;2.5%, C;85.0%
症例12;12歳・女子
「水泳を小さい頃からやらせたかったのですが、難聴ということでなかなか受け入れてもらえませんでした。同じ事をこの子一人にわかるまで何回も教えるわけにはいかないからと断られました。」
症例33;8歳・男子
「入会許可も条件つきでした。プール経営上、障害児を受け入れて何らか事故があった場合の責任問題が健常(聴)児より多発する可能性があるということから・・・・・・。」
(10) 障害への理解
A;27.5%, B;5.0%, C;67.5%
症例6;7歳・女子
「最初耳鼻科の先生などに”難聴児がスイミング・スクールだなんてとんでもない”とか反対されたことも・・・・・・。」
(11) 水泳に対する啓蒙の必要性
A;2.5%, B;2.5%, C;95.0%
症例25;5歳・男子
「水泳自体はとてもよいスポーツだと思いますが、特別難聴であることに何か特殊な効果があるのかということは疑問です。」
(12) 精神的好影響
A;85.0%, B;2.5%, C;12.5%
症例34;4歳・男子
「今では母子ともにスイミングに通う週2回の日を楽しみにしており、良い影響を与えてくれました。」
Ⅲ.考察
はじめに述べたように、難聴児は結果的に中枢神経系の代償機能によって補われる1)とはいえ、平衡機能の発育が遅れがちであり2)、また難聴児とその親は地域社会との交流面では孤立しがちである5)。
それに対し、著者らが経験したワールデンブルグ症候群の症例1では、スイミング・スクールに親子で通うことにより、前述のごとき好影響のあったことが理解できた。
なおワールデンブルグ症候群とは、1951年にオランダの眼科医Waardenburgによって報告された、内眼角側方偏位・虹彩異色・感音難聴などの先天異常を呈し、主に常染色体優性遺伝の形式をとる症候群である6)。
ただし症例1の場合には、昭和大学における精査の結果、遺伝性は否定されている。
この症例1の経験から著者らは、難聴児に水泳指導を行なうことに、以下のごときいくつかの効果が期待できるものと推測した。
①難聴児の平衡機能発達促進効果が期待でき、しかも難聴児自身が楽しみながら訓練を続けられる。
②難聴児は聴覚による情報が期待できない分、視覚的に親の表情に敏感である。他のスポーツと異なり母親と対面しながらの訓練が可能な水泳は、難聴児に安心感を与え得る(図2)。
③難聴児を抱え日常ストレスの絶えない母親にとっても、ストレス解消となる。
④聾学校や難聴児学級と違い、スクールという健聴児とも交流せねばならない場は、世界の狭い難聴児にとっても貴重である。一種のインテグレーション教育的効果も期待できよう。
ことに症例1は、ワールデンブルグ症候群という特殊な病態のゆえに、外観から一目にして他の子どもとは異なっている。早期から健常児の間に混じって、訓練がなされる必要があった。この点症例1にとってスクールは、他の一般の難聴児に比べても一層の効果があったものと思われる。
⑤スクールへ通う他の親子と接することができ、地域社会への溶け込みが容易となる。
⑥一日中難聴児のことが頭を離れない親にも、社会的な関心を呼び起こさせ得る。
症例1を経験し著者らは、全国の難聴児を持つ親の会会員のうち、わが子に水泳を習得させた経験のある会員40家族を対象に、アンケート調査を実施した。そして上述の結果に記したように、水泳指導が難聴児に対し、かなりの好影響を与えているとの感触を得ることができた。
まず、当初著者らが期待した難聴児のバランス改善に水泳がどう関与するかだが、当然のことながらアンケート調査の限界として、医学的に厳密な改善効果を確かめることはできなかった。
とはいえ、①化膿性髄膜炎から難聴と平衡失調を来した症例2において、バランスの回復を伺わしめる回答が得られたこと、②何より症例1においてバランスの発達に水泳が奏功したと思われること、は推測できる。
もちろんこの場合、前田の報告1)に用いられた重心動揺検査が導入できれば、もっと確実な成果を厳密に明示できるものと考えられる。ただ、水泳開始年令が余りにも低年令の症例においては実現困難のこともあろう。
なお、今回のアンケートにてバランスが回復したと回答した2症例は、水泳開始年令がいずれも6歳未満であった。前田の報告1)では、高度難聴児の平衡機能障害は小学校の中・高学年の間に健常児レベルに達するとされる。この両者を考えあわせると、難聴児に対するバランスの改善を目的とした水泳指導は、小学校低学年までに開始されるべきと思われる。
体力については、40.0% の例が改善を報告している。「体ががっちりして来た」「喘息がなおって来た」などの回答も、見られた。交流は、57.5% の例が、改善したと述べている。水泳指導の場は、普段の教育現場においても耳の不自由な子同士の交流が多いと想像される難聴児にとって、良いインテグレーションの機会となり得ていることが推測できる。もちろんこの場は、逆に健常(聴)児にとっても、膚で障害児に接触する絶好の教育の機会となっていよう。
自身も高度難聴者である岩淵紀雄は、その著書『しじみ貝の詩』5)の中に、次のように記している。
「次に大切なことは、障害児を家の中に閉じこめておかずに、積極的に地域の中に出してやることである。(中略)こうした僕だけの体験でもおわかりのように、その子供を強くたくましく育てるために、積極的に家から外に出して人間同士が心の触れ合いをする機会を与えてやっていただきたい。これによってさまざまな体験をして常識をふやしたり情操を身につけて、独善的な孤立した考え方をしなくなるであろうし、障害と障害者の立場に理解を求める機会にもなるであろう。」
家庭と学校以外の社会の一場面としてスイミング・スクールの体験は、難聴児にとって貴重な人生経験ともなっているであろうことが、推測される。
自信に関しては、45.0%の回答が改善を指摘した。ことに症例2においては、どちらかと言えば学校でのいじめの対象となる危険性5)さえ有している障害児が、学校の水泳大会の代表になり周囲に認められ、自信をつけて行くエピソードが報告された。
自立は、障害者の永遠の課題である。加うるに障害児には、本人の親離れと親の子離れとが問題となる。今回のアンケートでは 22.5%の回答が、水泳指導の自立に与える好影響を報告した。ことにプール内という、補聴器の使用できない状況において自らの位置を判断し行動する、難聴児には不可欠の訓練が水泳指導によって行なわれ得ることも報告された。難聴児の成長とともに親の視点がプール内からプール外よりの観察へと移行することも、この目的に適っていたものと思われる。
意欲の面でも、自然な形で頑張りを学習させる水泳は、47.5%の回答が良かったと報告している。
集中力の面では、5.0%の回答が小学校生活において有効と報告した。難聴児が他人の発言を理解しようとするならば、不自由な聴覚以外に視覚その他の感覚を総動員せねばならない。水泳指導を受けている他の子どもたちのしぐさを見て、指導された内容を推測・把握することも不可欠である。
もちろん学校教育の現場においても難聴児は、教師の発言内容について同様の補完が要求される。水泳指導は、そのための訓練としても一手段となる。
意外に理解が乏しいが、難聴児には呼吸法・発声法の指導が考慮されねばならない。自分の出した声を自分の耳で聞き取ることのできない難聴児は、発声がフィード・バックできず声量・声質の調整ができない。ましてや、腹式呼吸による発声を覚えることは困難である。その意味で、呼吸の調整と腹式呼吸を無意識のうちに学べる水泳は、難聴児にとって有用と思われる。
こうした利点のある水泳だが、残念ながら難聴児は社会的不利および障害への理解不足のために、必ずしも十分にその成果を活用できていないように思われる。
症例12、症例33のような、スイミング・スクール側の障害への理解不足はまだしも、症例6に見るような耳鼻咽喉科医の認識不足は、一考を要する。今後、より一層の地道な調査が重ねられ、社会一般に難聴児の水泳指導に関する啓蒙が行き渡る必要がある。もちろん、難聴児親子たち自身への水泳指導の利点の周知は欠かせない。
なおアンケートの中に、「うちの子が通っていたスクールでは難聴の子は初めてでしたが、その後快く難聴児を受け入れてくれるようになっただけでも、息子が通った意味はあったのではないかと思っています」との回答のあったことを、ぜひ付け加えておきたい。
最後に、難聴児親子への水泳指導の与える精神的影響であるが、実に 85.0%の親子が好影響を報告している。著者らが推測したごとく、障害児を抱えた家庭のストレス解消に、水泳は大きな力を持つものと思われる。中には、難聴児本人が学業のためにスクールに通えなくなった後も、両親がその魅力にとりつかれて水泳を継続している報告も存在した。
本稿には利益相反に該当する事項はなし。
なお、無修正の写真を学術誌に掲載することに関し、成人した本人より文書で同意を得た。
本稿の内容は、国際水泳医科学・コーチング会議(1989年8月22)、および第57回日本聴覚医学会学術講演会(2012年10月11日)、日本めまい平衡医学会学術講演会(2012年11月29日)において発表された。
文 献
1) 前田秀彦:高度難聴児の平衡機能の発達に関する研究-重心動揺検査による定量的検討-,帝京医学雑誌 10:171-180, 1987.
2) 亀井民雄他,他;聾児およびふつう児童の平衡機能について,耳鼻臨床 77:686-694, 1984.
3) 三好 彰:難聴児の水泳指導,体育の科学 39:548-550, 1989.
4) 三好 彰:難聴児の水泳指導(第2報),Sportsmedicine Quartery 2:80-84, 1990.
5) 岩淵紀雄;しじみ貝の詩 聴力障害者の体験から,日本放送協会,東京,1978.
6) 伊藤希美他:Waardenburg症候群の親子例,臨床小児医学 38:281-285, 1990.
(受付2021年6月15日、受理2021年10月8日)
英文抄録
Swimming instructions for children with hearing impairment
Akira Miyoshi*
Naoki Ohnuma**
Takeyuki Sambe***
*Miyoshi ENT Clinic, 1-34-1 Izumichuo Izumi-ku Senndai-shi, 981-3133, Miyagi, Japan
**Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo, 4-6-1 Komaba, Meguro-ku, 153-8904, Tokyo, Japan
***Showa University Research Institute for Sport and Exercise Sciences, 2-1-1 Hujigaoka, Aoba-ku, Yokohama-shi, 227-8518, Kanagawa, Japan
It is reported that the development of equilibrium function in children with hearing impairment is delayed compared to that in healthy children because of an impairment in the peripheral equilibrium sense organ. However, it is also suggested that this underdeveloped function is complemented by the compensatory function of the central nervous system and that the compensatory function is promoted if the equilibrium function is trained in the early stages when plasticity is present in the brain. On the other hand, there is no denying the possibility that, for children with hearing impairment and their parents, the world might become smaller because of the communication difficulties faced by the children and because their livelihood domains tend to be limited to those related to the children with hearing impairment.
We encountered a child with severe hearing impairment due to Waardenburg syndrome whose equilibrium function improved while going to swimming school with the mother and whose integration into the local society may have been promoted.
In addition, we conducted a questionnaire-based survey involving members of the association of parents of children with hearing impairment in Japan, focusing on swimming instructions for children with hearing impairment, and found favorable effects of swimming instructions.