2022年8月(No.330)
白老健診シリーズ⑨
写真で見るアイヌ文化6
~木下清蔵遺作写真集~
「木下清蔵遺作写真集」(図1)は、現在の青森市油川生まれの写真家・木下清蔵氏(1959~1988)による記録写真を基に、アイヌ民族博物館が編集・発行しました。
大正から昭和にかけての、民族継承と近代化の狭間を逞しく生き抜くアイヌの姿をご覧ください(以下、写真集より引用)。
【ひとの一生】
難産のまじない(図2)
難産のとき、火の神とウスの神に加護を願う。長老が炉辺で火の神にお願いし、妊婦にキネを搗かせる。ウスは女の神で強い力を持っていると考えられていた。ハリからタル(“ル”のフォントサイズは小さく)(過負用縄)を吊し、それにつかまって出産する。
図2
出産の様子(図3・4)
図3
図4
難産のまじない(図5)
いよいよ難産になったとき、老婆が手にイヨク(“ク”のフォントサイズは小さく)ペ(鎌)を持ち、杖を突きながらアシンル(便所)に行き、ルーコロ(“ロ”のフォントサイズは小さく)カムイ(便所の神)に加護を願う。便所の神も女の神で、特別に強い力を持っていると考えられていた。
図5
子を背負う(図6)
タル(“ル”のフォントサイズは小さく)と呼ぶ過負縄の端を横木につなぎ、横木に子供のお尻をかけさせて、過負縄を額いにかけながら背負う。
図6
婚姻(図7・8)
結婚式は和人の方法とは違って、いたって簡素である。
まず火の神にその旨を告げる。当事者の親、親せきの者同士が相向かい合い、嫁方から刺しゅう文様が施された着物や太刀などを、婿方から漆器や玉飾りなどを、それぞれプレゼントし合う。
その後、両家で一つの杯に注がれた酒を飲み合う。
最後にまた火の神に報告し、永遠の庇護を願うのである。
図7
つづく
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