2022年7月(No.329)
訪れた人たち
~伊藤 直紀さま 2~
はじめに
元北海道新聞の記者で、院長が毎年実施していた北海道白老町の学校健診を取材して頂いたことのある伊藤直紀さまから、診療の感想を頂きました。
伊藤さまは2021年8月、耳の聞こえに不調を訴えられて遠く北海道から当院を受診され、耳の治療を受けられました。
院長と伊藤さまとの出会いは、3443通信 No.322「訪れた人たち~伊藤直紀さま~」をご覧下さい。
以下、伊藤さまからのお手紙です。
突如、耳が聞こえなくなった
昨年8月、あやうく両耳が聴こえなくなるところだった。突発性難聴だったらしい。去年の北海道は猛暑続きだった。例年であればお盆が過ぎると肌寒くなるのでクーラーは不要だった。しかし去年は異常だった。
だんだん聴こえが悪くなるので、札幌市内の総合病院の耳鼻科を受診した。ぼくの主治医のみたては簡単だった。
「内耳に中の水分が不足したためです。水をたっぷり飲んでください。2~3週間で治ります」
自信たっぷりに言った。そうした患者が増えているのだという。
それから水を飲む日が続いたが、聴こえは改善しなかった。三好彰先生に助けを求めた。先生が北海道白老町でボランティアで子どもたちの耳鼻科集団健診を始めたときに取材した1989年以来のお付き合いである。
病状を話すと、
「突発性難聴らしい。資料を送るのでどうするか話し合って下さい。」
それには「10日を過ぎると改善しづらくなる。」と書かれていた。ぼくはすでに3週間過ぎていた。
それを読んだ妻がすぐさま仙台行きを決断。フライト、ホテルを予約した。翌日昼すぎには仙台空港に降りたち、タクシーで三好先生のもとへ向かった。夕方には一回目の治療。心なしか詰まっていた耳づまりが開通した感じ。休日を挟んで二回目の治療。これで終わり。マジックのようだった。それ以降症状はでていない。
主治医の「水を飲めば治る」という迷言は何だったのだろう。患者は医者(名医)を選ばなければならない。とつくづく思った。
院長より
伊藤さんからご相談を受けて、そのすぐ後に当院を受診頂きました。
すると、通気前後の検査から滲出性中耳炎だったことが判明しました。
治療前(図1)と治療後(図2)の平均聴力レベル(赤線部分)を見比べると、右耳難聴がもともと存在し、たよりにしていた左耳の平均聴力が48.3dBから41.3dBに変化、音の聞こえが改善しているのが分かります。
札幌の医師はメニエールと間違えたみたいなのですが……。
図1 通気前
図2 通気後
院長と伊藤さまご夫妻
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院長著「みみ、はな、のどの変なとき」(滲出性中耳炎)
医学コミック③「中耳炎世界の冒険」
同コミック「症状解説」