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2021年10月(No.320)

 

田沢湖に佇むたつこ像(秋田県)

図01

秋田県と岩手県の県境にある田沢湖。
 かつての火山活動で形成されたカルデラ湖で、周囲を外輪山に覆われたほぼ円形の湖です。その水深は最大で400メートルを超え、日本では第1位、世界でも17番目に深い湖とされています。

この田沢湖には「たつこ姫伝説」と呼ばれる逸話があります。
 田沢湖がまだ田沢潟と呼ばれていた時代、この地方に住まう辰子と呼ばれる美しい女性がおりました。辰子は、自身の若さと美しさを永久に保つため、秘かに大蔵観音に百日百夜の願掛けを行ない、北に泉の水を飲めば願いが叶うと告げられます。

早速、辰子は家を出て長い道のりを経て泉へと到着します。
 喜んだ辰子は水を飲みますが、いくら飲んでも喉の渇きは満たされず、ついには泉が枯れるまでその湧き水を飲み続けてしまいます。

すると、辰子の体は巨大な龍へと変貌し、そのまま田沢潟の湖底深くに沈んでいきました……。
 永遠の若さと美貌を願い、湖の神となった辰子を表すように、田沢湖南岸には黄金色に輝くたつこ姫のブロンズ像がいまも湖面に佇んでいます。
(2020年8月27日、院長撮影)

図02

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