みみ、はな、のどの変なとき
56 百年の恋も醒める病気
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百年の恋の醒める。もしもそんな病気があるとすれば、それは間違いなく花粉症などアレルギー性⿐炎です。
だってくしゃみ・⿐みず・⿐づまりがひどくって、涙もぼろぼろ。かゆい余りに⽬や⿐をこすってまぶたは腫れ上がり、まるで「四⾕怪談」のお岩さんそっくりです。
どんな美男や美⼥も、突然この発作に襲われるとひとたまりもありません。すてきな恋など、とっても語れなくなります。まさに百年の恋も醒めます。
そんな、有害そのものと思われるアレルギーの発作ですが、けれどもホントに有害無益なのでしょうか。
花粉症や、ダニによる⿐のアレルギー反応をアレルギー性⿐炎(⿐アレルギー)と称します。そしてその原因であるダニや花粉は、⼈体にとっていわば異物で、役に⽴たない物質です。
それら異物は、理想を⾔えば余り⼈体内に⼊って欲しくないのが、正直なところではあります。
⼈体は、とても賢くできています。こうした異物が⿐の⽳から⼈体内に⼊ろうとすると、ちゃんと防御するシステムが作動するみたいです。それが⿐の場合には、くしゃみ・⿐みず・⿐づまりの発作となって表われます。
なぜならくしゃみは、爆発的に空気を押し出して、異物を⿐の粘膜上から外へ吹き出してしまう役割を担っています。
⿐みずは異物を洗い流し、対外へ排除しようとする⽣理的役割を担当している、とも考えられます。
そして⿐づまりは、異物が⿐から⼈体内へ侵⼊するのをブロックします。
その意味ではこれらの症状は、本来は⼈体にとって有益な作⽤であったと、理解することもできます。とは⾔えこれら本来有益な反応も、過ぎたるは及ばざるがごとしです。逆に⼈体に過剰なまでの負担がかかってしまうのです。
それが⿐の場合には、百年の恋を⼀夜にして醒めさせる、そんないたずらさえする訳です。
こうして考えて⾒るとアレルギーとは、実は⼈体を本来なら守るべき機構が、過剰防衛のためにむしろ⼈体に害を与えている、そんな病態だと理解することができます。
関連リンク
・花粉症の方へ
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