2020年4月号(No.302) 武漢市から望む新緑の長江 この写真は、1999年GWに中国湖北省の省都・武漢市を訪れた際の物で、本誌184号の表紙を飾っています。 この町の名前、2020年の年明けに発生した新型コロナウイルス騒動の中心地として、ご存知の方も多いのではないでしょうか? 武漢の歴史は古く、約6000年前の新石器時代に人の住んでいた形跡が遺跡として発掘されています。また、世界三大河川の一つである長江と、その支流の漢江との合流点にある町です。 そのため、古来より水運・交通の要衝として栄え、現在でも中国有数の工業都市として人工1,000万人を抱えるメガシティでもあります。 さだまさしの名曲「フレディ-もしくは三教街」の舞台としても、ファンの間では有名です。 私が訪れた際には、都市部の再開発が進む初期の頃でしたので、各所には未だ古い町並みが多く残されていました。 私たちの南京医大研究チームは、武漢にあった湖北医科大学との共同研究として医学生を対象としたアレルギー疫学調査を実施していたのです。 さて、この武漢市を訪れた際のエピソードですが、実は私たちが宿泊した軍経営のホテルの各部屋のクローゼット全ての中にガスマスクの備えられていたことを思い出しました。 これは、いま世間を賑わしている新型肺炎のために置いてあった……わけではないのでしょうが、確かにこの町には生物化学を研究する軍の機関が存在しているようです。 運よく、我々が滞在した時にはそれを使用するような事はありませんでしたが、さて一体なんのために置いてあったのでしょうか? 中国国内の状況 先日、武漢に派遣中の私の弟子の医師から聞いたのですが、毎日4~5,000人が病院を受診して、新型肺炎疑いとされているそうです。 また、各地の小・中・大学は2月末まで冬休みを延長し、南京医大の耳鼻科・眼科・歯科は外来中止となっているとのことでした。 中国全土の病院から、それぞれ30名程の前記各科スタッフを武漢に集中して、医療対応に当たっているそうです。 日本国内でも騒がれていますが、こういう時こそ落ち着いて、感染症予防の基本原則である「手洗い・うがい」を徹底する事が重要と考えます。