2020年5月号(No.303) イグアスの滝にかかる虹 南米のブラジルとアルゼンチン、これら2国の国境沿いを流れるイグアス川は、全長1,300キロもの大河川です。 ブラジルの海岸山脈に端を発し、ブラジル南部パラナ州に広がる高原地帯を横断し、国境の街フォズ・ド・イグアスの南でパラナ川と合流した後、大西洋へと注がれます。 そのパラナ川との合流部より20キロほど上流へ向かうと、イグアスの滝と呼ばれる荘厳な大滝が姿を現します。 幅約4キロに渡って陥没したような断崖絶壁を、膨大な量の水が大音響とともに降り注いでいます。 その1秒間の水量は、なんと東京都が消費する水量の1年分に相当するとか。 写真は本誌170号の表紙を飾った、ヘリコプターから撮影したイグアスの滝です。北向きに“U”を描くように陥没した地形に、幾筋もの流れが大瀑布を形作っています。 写真の手前側がブラジル、奥側がアルゼンチンです。 滝のちょうど“U”の底に当たる部分、現地ではここを「ガラガンタ・デル・ディアブロ(悪魔の喉笛)」と呼んでいるそうです。 その由来は諸説ありますが、一番有名なのが岩に叩きつけられる滝の轟音が、まるで悪魔の唸り声のように恐ろしく鳴り響く事からそう呼ばれるようになったそうです。 滝を見下ろせる遊歩道を歩いていると、まさにその悪魔の唸り声を体感する事が出来ます。とてつもない轟音と水しぶき、そして落水の風圧がどこか恐怖さえ感じさせます。 圧倒的な自然の驚異を目の当たりにすると、日常の悩み事が水流と一緒に流されていき、人間がいかに小さい存在であるのかを考えさせてくれました。