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こちらで閲覧できます(http://www.3443.or.jp/tokusyu/pict/pict39/3950.jpg)
当院ではスタッフ教育の一環として、朝礼時に勉強会を実施しています。
使用する教材はその都度ちがいますが、主に患者様への接遇向上や、疾患に対する知識を深めるための資料を用いて実施しています。
ここでは、新人スタッフの教材として使用している院長著書「みみ、はな、のどの検査・処置」の内容を抜粋してご紹介いたします。
「お耳が痛いよう!」
突然ぼくが泣きだします。端から見てもとっても痛そうで、ぼくはころげまわるように痛みを訴えます(図1)。
冬の寒い時期、特に風邪の流行っているときに子どもが耳の痛みを訴えたら、まず急性中耳炎を考えねばなりません。この中耳炎は、風邪をひいたときにのどのバイキンが、耳管を通じて中耳腔に入ることにより生じます。
急性中耳炎の耳の痛みは、細菌感染で中耳腔に膿がたまり、内側から鼓膜を圧迫するために起きます。この際、通常なら膿の排泄に関わる耳管が炎症で腫れてつまっていることも、鼓膜内側の圧を異常に高めます(図2)。ひどく痛くなる、という訳です。
その痛みを無くすには、膿を外に逃す必要があります。
急性中耳炎のとき耳鼻咽喉科では、鼓膜内側の膿を排泄するための鼓膜に小さな傷をつけます。これは耳の痛みをすぐに楽にする、最良の方法です。
鼓膜切開と称するこの方法では、図3に示すように切開した部位からの排膿に加え、腫脹のやや軽減した耳管からの排膿もあって、鼓膜への圧は消失します。鼓膜に言わば窓が開き、耳管の換気が改善することも排膿に役立ちます。
切開と言うとやや大げさですがこの処置は、針で皮膚をつつく程度の操作ですので、怖がる必要はまったくありません。
通常耳鼻科医は、図4のように子どもを寝かせ手術用顕微鏡を使用、図5のような極小のメスで鼓膜を切開します。
これでお耳は、ほとんど痛くなくなります。鼓膜切開は、お耳のバイキンマンに対するアンパンチなのです。
つづく