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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

日本安全保障・危機管理学会 現地研修会 府中刑務所 研修レポ

 2017年10月27日(金)、院長が所属する危機管理学会主催の府中刑務所研修に参加しました。

〇府中刑務所とは

 東京都府中市の北側に位置する府中刑務所(以下、府刑)は、全国62ヶ所の刑務所の中で最大規模を誇り、東京ドーム5.6個分の広さがあります(図1)。
 主に刑期が10年未満の日本人男性(26歳以上)と、日本語が堪能ではない外国人男性が収監されています。ほかにもエイズ・結核・人工透析・覚せい剤使用者を収容する施設に指定されています。
 現在は1994人(収容率74.7%)の受刑者が、施設内で社会復帰を目指しています。

(図1) (図1)

〇歴 史

 府刑の始まりは、今から230年前の1790年(寛政2年)、火付け盗賊改め長谷川平蔵が石川島人足寄場を設置した事に端を発します。
 人足寄場とは、江戸幕府が設置した自立支援施設で無宿人や軽犯罪者を収容して大工技術等を習得させて社会復帰させる、当時としては画期的な施設でした。
 その後、西巣鴨(現在のサンシャインシティ)に移転するも関東大震災で建物は大破し、1935年(昭和10年)に現在の府中市に移設されました。

〇入所~出所の流れ(図2)

 入所から出所(釈放)の大まかな流れは図の通りです。

(図2) (図2)

〇食 事

 府刑内の施設にて作成して受刑者に配布しています。主食は米や麦ですが、外国人受刑者にはパンも支給しています。
 体格や健康状態によって量を調整する事もあるそうですが、おかずは全て同じ量が支給されるそうです。宗教上の理由によっては野菜主体の食事も可能です。

〇娯 楽

 一般改善指導の一環として、テレビ・ラジオ鑑賞、図書の貸し出し、季節ごとに運動会(綱引き、テニス、ソフトボール)、囲碁・将棋大会を実施しています。
 また府刑独自の取り組みとして、プロの女性DJによる1時間のラジオ生放送を行い、受刑者からのリクエスト曲の放送を行っています。

〇健康管理

 健康と衛生を維持するために1日30分以上の運動、週2回以上の入浴が認められています。

〇医療体制

 医療スタッフが常時待機しており、また定期的な健康診断を実施しています。施設内で対応困難な病状の場合は外部医療機関への搬送・入院を行います。

〇施設見学

 府刑内は大まかに3つのエリアに分かれています。
 まず一番南側のエリアは職員が居住する住居エリアで、公園や運動場、集会所が建てられています(図3)。このエリアだけで府刑の約3分の1の面積を占めています。
 次に、府刑中央に位置する事務棟です。前述の施設概要を教わった会議室などがあります。受刑者の収容エリアには、この事務棟を経由して入る必要があります(府刑北西にある物資搬入口を除く)。
 参加者は、持ち込んだすべての荷物を預けてから、刑務官の誘導に従って収容エリアに入ります。
 参加者の前後に刑務官が立ち、常に無線で通過エリアを報告しながら移動します。こうすることで受刑者と一般人が接触しないようにしています。
 事務棟1階から出入口が交互に開錠される個室を抜けると、高さ5.5メートルの堀に囲まれた収容エリアです。堀はやや灰色がかった白い塗料が塗られており、表面は凹凸のないスベスベとした状態になっています。

(図3) (図3)

〇外国人収容棟

 最初に見学したのは西側にある外国人専用の単独房です。ベッドが各部屋に設置してあり畳敷きの日本人房に比べて部屋はやや広めに作られています。元々は日本人も収容していたそうですが、1986年の大改装の際に外国人専用棟として整備されたそうです。

〇雑居房

 次は同じ連なりにある雑居房です。10畳ほどの畳敷きの部屋には6人ほどが生活している様でした。かつて受刑者を過剰収容していた時代には、この部屋に7~8名が割り当てられていたそうです。
 また、部屋には冷暖房は設置されておらず壁掛けの扇風機が1台のみ付けられていました。しかもごくごく最近になって付けられたのだそうです。真夏の暑さや真冬の厳しさ想像すると……(寒気)。

〇工 場

 府刑の一番北側には工場が林立しています。私たちが見学したのは皮製品、洗濯物(アイロン掛け等)、ワッペンなどを作る工場です。
 工場内部は中央に線が引かれた通路があり、その両側に作業機械が等間隔で並べられ、受刑者が作業を行っています。
 私たちと目を合わすことは許されておらず、受刑者は一心不乱に作業に集中していました。刑務官の指示で体の向きを変える受刑者の姿も見受けられました。
 この工場で作られた製品は、様々な場所へと送られて販売されています。その一部は府刑に隣接している作業製品倉庫でも展示販売がされていました(図4・5)。
 他にも自動車整備工場や給食室(外のみ)を見て回り見学は終了しました。
 収容エリアを出ると、独特な閉塞感のある塀の中に比べて開放的で安心感に包まれた感じがします。これがいわゆる「シャバの空気」でしょうか。
 塀1枚を隔てた中には、こうまで外界とは違う世界があるのかと実感させられました。願わくは一生お世話になる事がありません様に……。

(図4) (図4)

(図5) (図5)