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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみラジオ797 3443通信|スギ花粉症の予防(6)

◆番組情報
fmいずみ797「be a live」にて 毎月第1・3火曜10:20~10:30まで放送中‼

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 スギ花粉症の予防(6)目次

202 実は兄弟?日本と中国のスギ

An.:  三好先生、前回までスギ花粉症増加の要因の1つとして、人体側の免疫機構増強についてお聞きしました。そして逆に日本全体が都市化して感染源となるバイ菌やウィルスが、減少してしまった、あの東京オリンピックの時代の記憶を振り返りました。
 先生は、これらいわば言い伝えに近かった歴史的事項と追憶を、確認しようと・・・・・・。
 日本だけでなく世界各地で、その地域全体にお住まいの住民、ことに特定の年齢層のすべてを被験者として、スギ花粉症などアレルギー疾患の頻度調査を行い、アレルギー疾患の現実を実態調査したんですよね?
Dr.:  江澤さん。そんな手のかかる調査方法を私たちが選んだのは、どんな理由からだったでしょう?
An.:  普通は病人や疾患の頻度なんて、医療機関の窓口で待ち構えていて、それが例えば中耳炎でもそれこそスギ花粉症でも、医師が診断をつければ疾患の頻度なんて、簡単に分かっちゃいますもの・・・・・・ね?
Dr.:  ちょ、ちょっと待ってくださいよ、江澤さん。ある自治体の、すべての住民の病気の頻度を確実に判定するためには、まず第一にその自治体にはたった1人の医療機関しか存在せず、しかも診断にあたる医師はすべての住民を1人で担当しなければならない。ですよね?
 それが現実には、いかに困難なことであるのか、江澤さんにはお分かり頂けるでしょう。
 加えて、こうした疫学調査で対象となる被験者は、医療機関を受診したいわゆる「病人」だけでなく、医療機関をまだ受診していない、いわば「健康」な人。
An.:  たしかにいますよね。端から見てても、「くしゃみ・鼻みず・鼻づまり」がいかにもつらそうで、もしかするとこの人スギ花粉症かしら、みたいな(笑)。
 でも、そういう人でも耳鼻咽喉科に無縁の「健康な」存在、だったりして(笑)。
Dr.:  江澤さんご指摘のような方も、たしかにゼロではないような気もしますので。
 そんなわけで、医師がひたすら医療機関内で病気の人を待ち続けるというのは、疾患の頻度把握のためにはどうかな? です(笑)。
An.:  それで先生が選んだのが?
Dr.:  1つの自治体の、ある年齢層の、すべての構成人員を対象に、アレルギー関連の調査を施行する、という手法でした。
An.:  それは、今考えてもスゴイ方法ですよね!
Dr.:  具体的には、すでにOAした方法ですけれども、北海道白老町を手始めに小学校1・4年生そして中学校1年生、つまり6・9・12歳の町全体の児童生徒を調査したんです。
An.:  この方法は、白老町という自治体の特定の年齢層の構成人員の疾患の頻度を確認するだけではなく。
Dr.:  そうなんです、江澤さん。
 毎年、同様の調査を何年間も継続することによって、時代の変化によるアレルギーの頻度の変遷や、児童生徒の成長に伴うアレルギーの頻度の変化を、世界で初めて明らかにすることに成功したんです。
An.:  ヘェーッ!
Dr.:  アレルギー疾患の年齢変化なんて、私たちの調査以前には、まったくだれも想像していなかったことで。
 これらを始めとして、世界初の発見が、この調査からは次々と生まれたんです。
An.:  江澤は、ひたすらびっくりです。
Dr.:  その当時つまり1990年頃には知られていなかった、北海道のスギ花粉症の発見を行いましたし、当時私が中国の南京医科大学でアレルギーを教えていたこともあって、引き続いて中国大陸の平野部での、スギそしてスギ花粉症の発見。標高3665mのチベットでのスギ花粉症、そして現地における樹齢3233年の巨大ヒノキの発見と、研究は続いてきたんです。
An.:  江澤はよく知らないんですけれども、スギ花粉症とヒノキの関係って?
Dr.:  スギは植物学的な分類では、ヒノキ科スギ属に分類されており、花粉症の症状もまったく同様の・・・・・・。
An.:  日本人にはおなじみの、悲惨な症状を(笑)。
Dr.:  引き起こすわけです(笑)。
An.:  アレッ! そう言えば、三好先生はこのOAで、中国の雲南省のスギ花粉をスギ花粉症日本人の鼻内に綿棒で差し込んでも、逆に日本製のスギ花粉エキスをスギ花粉症中国人の鼻粘膜に差し込んでも、「くしゃみ・鼻みず・鼻づまり」が見られる。つまりアレルギー原因物質としても、両国のスギはまったく同じ性質を保有している。そう講義しておられましたよね?
Dr.:  さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。
 そこで物知り江澤さんに、質問です。
An.:  エッ! それはいったい何でしょう?
Dr.:  これまでご説明してきましたように、日本に植生しているニホンスギつまりクリプトメリア・ジャポニカも、中国に生息している柳杉すなわちクリプトメリア・フォルトネイも、私たちのDNA分析では97%同じものです。双子ではないが、兄弟スギみたいな感じでしょうか?
 これら両国のスギは、日本海という広い立派な海を隔てていながら、どうしてお互いに兄弟の性質を持っているのでしょうか。
 これまでの200回以上のOAの中で、一度江澤さんにはお伝えしたような気もするんですけど・・・・・・。
An.:  三好先生、それ、ワタシ、この目で見て(笑)知ってます。もちろん、単なるジョーダンですけど。
 この地球が、はるか昔の第三紀鮮新世だった頃、日本列島とユーラシア大陸は陸続きでした。
 ですから、当時の生物は陸づたいに、ユーラシアと日本列島の間を、自由に移動することができたんです。
 もちろん動物だけではありません。
 スギだって、大陸から列島まで、連続して生えていたわけですから、大陸に柳スギが存在し、日本に日本スギが植生していることは当然です。
Dr.:  氷河期が終わり地球が温暖化すると、両国のスギはもともと別々に生存していたように、錯覚されるだけですものね(笑)。
Dr.:  今回も興味深いお話を、ありがとうございました。次回が、今からとても楽しみです。
チベット・林芝地区の樹齢3233年の大ヒノキ チベット・林芝地区の樹齢3233年の大ヒノキ