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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

げんき倶楽部杜人 〜シリーズ 学校健診その37〜

げんき倶楽部杜人 〜シリーズ 学校健診その37〜

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

〜シリーズ 学校健診その37〜

 耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」の三好彰院長は、耳鼻咽喉の診療に携わって40年。
今回は2013年5月にfmいずみで放送された内容を紹介する。
[An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

An.:  前回は英国の紅茶のお話を伺いました。コーヒーとのカフェイン含有量の比較など、非常に含蓄のあるお話でした(笑)。
Dr.:  でも江澤さん、この英国の緑も紅茶も、わずか150年の歴史しかないんですよ。
An.:  えっ、英国の美しい自然と紅茶のセットは何百年もの伝統があるものと、江澤は思っていました。
Dr.:  以前、ナポレオンとカモガヤ花粉症のお話をしたことがありますが…覚えていますよね?
An.:  あのお話、面白かったです。古代から世界の七つの海を制覇したギリシャ、ローマ、ポルトガル、スペインなどが没落したのには、わけがある。それは当時の海の軍備である木造の軍艦を建造するのに、1隻当たり山一つもの木材が必要だった。だから、軍備のために国中の山の木々を切り倒してしまって、木材が尽きると同時に国家の防衛ができなくなってしまう。それ故にその国は、滅亡に至る…そういうストーリーでした。
Dr.:  で、英国では?
An.:  伝説のネルソン提督が、トラファルガーの海戦でナポレオンのフランス艦隊を撃破したために、当時陸の王者であったフランスは、七つの海に打って出る野望を遂げられなくなった。ところがフランスに勝った英国では、それまでの海洋国家のように、国中の木々を切り倒したために、国全体がカモガヤなどの牧草地になってしまった。
Dr.:  その光景が今、私たちの見ている、美しい英国の緑の世界に変化してきたんです。
An.:  緑といえば、英国はガーデニングの本場ですもの、ね。写真で見る英国も、おとぎ話の小人の家のような、古いしっくい造りのひなびた家屋と緑のじゅうたん、そしてカラフルなお花が印象的です。
Dr.:  そうですね。そんな何百年もの歴史を持つ古い家屋は、いい雰囲気ですよね。でもね、江澤さん。それに対して英国の首都・ロンドンの街並みはどうでしょう?
An.:  ロンドンは大都会だから、でしょうか。石造りの、いかにも女王さまのお住まいみたいな建築物だらけ、ですよね。
Dr.:  ロンドンの中でも最も古い地区は「ザ・シティ」と呼ばれていまして。世界の金融街の中心といわれた、証券取引所を中心とする1マイル四方の地域です。
An.:  「ザ・シティ」ですから、ホントに街の中の街って感じですね。
Dr.:  この辺りは本当に石造りの堅固な建物が並んでいて、それらしい雰囲気の街並みなんですけれど。実は1666年の「ロンドン大火」の前は、ザ・シティの家々はしっくい造りの古風な建築だらけだったんです。
An.:  ちっとも知りませんでした。 世界各国から植物を収集
Dr.:  ロンドン大火以降、木造住宅の建設が禁止され、石造りのアパートだらけになったのが現在のザ・シティなんです。ロンドンでは、シェークスピアで有名な「グローブ座」という劇場が、しっくい造りの建築物として再現されています。ロンドンと事情は異なりますが、英国の地方都市も産業革命の始まる前、木材の乱伐によってそれまでの自然豊かな光景が一変し、荒れ果てた雰囲気の風景だらけになってしまいました。
An.:  今の緑豊かな英国の観光写真からは、想像できませんね!
Dr.:  英国の歴史の本にはこう書いてあります。「すでに16世紀には、森林の消失と呼ばれる生態学的危機にみまわれていた」
An.:  そういう荒廃した英国が、現在の緑豊かな自然を取り戻したのは、いつのことだったんでしょうか?
Dr.:  英国ではそんな経緯からか「園芸」、つまり植物を植えて育てることに関心が集まり、世界各国からさまざまな植物が収集されます。この園芸への関心が生んだのが、ガーデニングなんです。スギ花粉症の原因である日本スギが英国に紹介され、クリプトメリア・ジャポニカと名付けられたのも、19世紀半ばのことでした。
An.:  日本の植物も、当時の英国に紹介されたんですね?
Dr.:  日本だけじゃなく、英国の植物学者は中国からも植物を採取しました。そんな採取植物の中に、お茶があったんです。
An.:  えっ、英国人の日常生活に欠かせない紅茶は、19世紀半ばに中国や日本から持ち込まれたことになりますね。
Dr.:  それまで水やエールという英国ビールを飲んでいた英国の人々は、紅茶に夢中になります。昼間からビールを飲んでいては、産業革命以降の機械化された労働になりませんし、水は、例えばテムズ川の水も汚染され、伝染病の危険もありました。煮沸され、消毒された熱湯を使用する紅茶は、英国人のニーズにぴったりだったんです。
An.:  紅茶にはすごい歴史が背景として存在するんですね。
英国の紅茶とガーデニングには深いつながりがあります 英国の紅茶とガーデニングには深いつながりがあります