3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみ ラジオ3443通信 耳の日(11)

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

155話 難聴児の言語教育と発話法②

An.: 三好先生、お話はグラハム・ベルが難聴児教育で活躍し、あのヘレン・ケラーを育てたエピソードについて、さしかかろうとしています。
 とっても重要な、意義深い話題に突入しようとしているのは、良くわかるんですけれど、先生。
 せっかくのこの機会に、もう少しその周辺のエピソードの数々について、先生の話術の冴(さ)えをお聞きしたいような気もするものですから・・・・・・。
 先生から頂いた貴重な英国の紅茶の味が引き立つような、小話などはいかがでしょうか(笑)?
Dr.:  英国の、サンドイッチやスコーンそしてケーキの味覚がよみがえるような、そんな気の効いたお話をご希望ですね?
 私は、江澤さんのおねだりにすごく弱いものですから・・・・・・。でも、弱ったなァ(笑)。あぁ、そうそう。こんな話題はどうでしょうか?
An.: 待ってました、大統領(笑)!
Dr.:  その「大統領」という用語についても、いつか江澤さんにご説明したいんです(笑)けれど。
An.:  それも先生。もちろん、今からとても楽しみにしています。
Dr.:  周辺の話題として、バーナード・ショーの『ピグマリオン』からいくつか。
 江澤さん。江澤さんは『マイ・フェア・レディ』については、良くご存じですよね?
An.: 江澤はけっこう、こういったシンデレラ・ストーリーが嫌いじゃなくって。
 ロンドンの街角で、生活のために花売り娘をやっていた、オードリー・ヘップバーンが血のにじむような努力・・・・・・。
Dr.:  血というよりは冷汗のにじむ努力でしたけれども、ね(笑)。
 なにしろ、その努力たるや。
An.: 繰り返しになりますが、こうでした。

ヒギンズ;
 じゃあ言ってみろ、「ア・カップ・オブ・ティー」。   
イライザ;
 ヤァ・カッパラッテー。
ヒギンズ;
 舌を前に突き出すんだ、下の歯に押しつけるように。ほら、カップ。
イライザ;
 クゥ、クゥ、クゥ、ーーできねぇ。クゥ、クゥアップ。
ヒギンズ;
 よくできました。”
Dr.: まぁそうした努力(笑)の結果、見事貴婦人に変貌を遂げるんでしたからね。
 でもね、江澤さん。ヘップバーンの演じるイライザは、映画の中では厳しい語学教育を施したヒギンズ教授に、感謝の念を抱くようになるんです。
An.: なんだかウソみたい。あんなに厳しく、しごかれたのに・・・・・・。
Dr.: 映画のストーリーにも実は2種類あって。一つは、ヒギンズに感謝したイライザが、感謝の念からやがて深い愛情を持つようになり、ヒギンズと結ばれるというハッピー・エンド。ヘップバーンですよね。
An.: ステキ! 江澤はヘップバーンに憧れちゃいます。
Dr.: もうひとつは。こちらが原作通りなんですけれども。
 イライザはただの下町の花売り娘から、語学教育の結果、人間的にも成長を遂げるに至るんです。
 その結末として、堅苦しい言い方をすれば「自我に目覚め、自立して行く一人前の女性」として、自分なりの選択をする。
 そうした成り行きの当然の終末として、イライザはヒギンズを捨て去り、自分に求愛した若者に嫁ぐんです。
An.: 先生、それもステキなエンディングですねぇ(笑)。
Dr.:  バーナード・ショーは、1856年にアイルランドに生まれ、産業革命直後の英国で若き日々を過ごします。
 この時代の英国は、最終的に社会全体が経済的に豊かになる途中経過の真っ最中で。
An.: 先生、確か126回目のOAで伺った記憶があります。
 英国の社会は貧富の差が拡大して、労働者階級の生活は経済的にとっても大変だったんですよね!
Dr.:  マルクスとエンゲルスがその実態を報告した論文を、バーナード・ショーの生まれる10年前に発表しています。
An.: 時代は、そんな不穏な雰囲気に覆われていたんですね?
Dr.:  バーナード・ショーの原作の『ピグマリオン』も、そんな時代の雰囲気を背景にしていましたし、ショーご本人もすごい皮肉屋だったものですから。
 そのショーの書いた戯曲が、スムースなハッピー・エンドになる訳が(笑)・・・・・・。
An.:  あるわけはありませんよねぇ、先生。
 それで、本来のストーリーでは自立したイライザと権威主義的なヒギンズ教授は。
Dr.:  幸せに結ばれることはありませんでした。
An.:  そこがバーナード・ショーの、原作の味わいなんでしょうけれど。
Dr.:  でも、戯曲や映画のファンは、バーナード・ショーほど、社会的な問題意識を抱いている人間ばかりではありません(笑)。
An.:  むしろ、社会全体から見たら少数派だったかも(笑)。
Dr.:  戯曲や映画は、ファンの希望を反映せざるを得ませんので・・・・・・。
An.:  それで実際の上演や、ヘップバーンの出演する映画では。
Dr.:  戯曲や映画を見終えた観客が、「見て、良かった!! 」という満足感に浸れるように。
An.:  ハッピー・エンドで終了する、それが上演時のパターンになってしまったわけですね(笑)。
Dr.: 「めでたし、めでたし」で終わるのが、なんとなく安らかですから、ね(笑)。
An.:  でも先生。そのお話をお聞きすると、バーナード・ショーって、相当な皮肉屋さんだったみたいですね。その辺りについても、三好先生、ぜひ教えて頂きたいと思います。

156話 難聴児の言語教育と発話法③

An.: 三好先生、OAは「耳の日」のお話から、話題はアレクサンダー・グラハム・ベル一家をモデルにした、バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」と、そのミュージカル編「マイ・フェア・レディ」について、進行しています。
 そして、ベル一家の知り合いであり、「マイ・フェア・レディ」の原作者であった、バーナード・ショーって人が、どうやら相当な皮肉屋さんだったらしいって、伺いました。 たしかに江澤も、バーナード・ショーの有名な皮肉について、どこかで耳にしたような気がするんですけれど、
・・・・・・今ここでは思い出せないんです、先生(笑)。
Dr.:  たしかに江澤さん、バーナード・ショーと言えば、少し意地悪なコメントの数々が有名で、中には私たちが聞いても笑えるような、気の効いた寸言もあります。
 ここでいくつか、ご紹介しましょう。
An.:  江澤は楽しみです(笑)。
Dr.:  江澤さんにとっておきなのが、こんなセリフです。
 「食物を愛することよりも誠実な愛は存在しない。」どうでしょう?
An.:  三好先生(笑)。この3443通信の収録は、昼食直前の時間帯に行なわれるんですけど・・・・・・。
 そう言われると、グサッと来ますね!
Dr.:  特に江澤さんの胃袋には、直接応えそうな寸言でした(笑)。
An.:  おもしろいんですね、先生。
 先生、他にはどんな発言が、有名なんでしょうかね。楽しみですね~。
Dr.:  こんなのは、どうでしょう?
 「人生には2つの悲劇がある。1つは、抱いている希望がなかなか実現されないとき。もう1つは、それが実現してしまったとき、である。」
An.:  判ります。先生、江澤にはその言葉、すっごく良く判ります。
Dr.:  さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。 えらく「ピン」と来たような、首肯(うなづ)き方(かた)をしてますね(笑)。
An.:  先生、その一言、すごく美味しそうなケーキで、江澤はいつも実体験します!
Dr.:  えぇっ? それは何のことでしょう?
An.:  江澤にとって人生の悲劇は、目の前にあるすっごく美味しそうなケーキが、どうしても口に入って来ないとき、のことです。
Dr.:   判るような気がします(笑)。
An.:  でもね、先生。それ以上の、江澤にとっての最大の悲劇は、その後に来るんですよ。
 ああ、何という悲劇の瞬間が可憐な江澤を襲うんでしょう・・・・・・と後でくるんですよね。
Dr.:  私はなんだか、江澤さんがすごく気の毒になって来ました。
 でもね、もったいぶらないで教えてくださいよ、その悲劇っていったい何でしょう?
An.:  それは先生、もちろん決まってるじゃないですか! その目の前にあるすっごく美味しそうなケーキを、食べ終えた瞬間ですよ! 先生! (笑)
 人生の希望がすべて消失したような、あの喪失感と虚無感が、三好先生には理解して頂けますでしょうか!?
Dr.:  江澤さん。私は江澤さんが、バーナード・ショーの寸言を、完璧に理解しているってこと、良く判りました(笑)。
 でもね、江澤さん。江澤さん以外のリスナーにも、良く理解できるような寸言も、バーナード・ショーにはあるんですよ。
An.:  三好先生、それもぜひ聞かせていただけますか?
Dr.:  江澤さんも読書家で、本を読むことが大好き、でしたよね?
An.: (笑い)三好先生、江澤は文学少女ですから、当然です。
Dr.:  江澤さんが、人生で一番影響を受けた本は何でしたっけ?
An.:  それは堀辰雄の「風立ちぬ」です、先生。
Dr.:  最近ジブリで、アニメ化されましたもの、ね。
 あれが宮崎駿の最後のアニメ作品かと思うと、私も喪失感を味わっています(笑い)。 それはともかく、ですね(笑)。
An.:  お話は、バーナード・ショーです。
Dr.:  バーナード・ショーが、江澤さんと同じ質問を受けたことがあります。
 そのとき、ショーはどんな風に答えたでしょうか? 江澤さん。
An.:  江澤はこの時間帯には、お腹にエネルギーが残っていないので・・・・・・(笑)。
 先生、正解をお願いします!
Dr.:  ショーは一言。こう答えたそうです。
 「私の人生にもっとも影響のあった本ですって?
 それは、銀行の預金通帳に決まってますよ! 」
 ですって(笑)。
An.:  スゴイッ!(笑)でも、なんだか、凄すぎて、ついて行きにくいような感じが…(笑)。
Dr.:  真摯な寸言も、有名です。
 「自由は責任を意味する。だからこそ、たいていの人間は自由を怖れる。」
An.:  バーナード・ショーくらい、皮肉が効きすぎるほどの自由な発言が多かったら、責任を取らされることも少なくなかったでしょうから。きっと、実感の篭もった寸言なんでしょうね。
Dr.:  『マイ・フェア・レディ』を思い出すような、こんなこっけいな一言も知られてます。 あるパーティー会場でバーナード・ショーが、当時の有名女優、美人さんだんたんでしょうね、プロポーズされたときのお話です。
 美女として名を轟かせていたその女優は、ショーに向かってこう言いました。
 「あなたの知性と私の美貌を兼ね備えた子どもがもし生まれたら、どんなら素敵でしょう! 」
 ショーはこう、答えました。
 「あんたの知性と私の顔を備えた子どもが生まれたら、どうしましょう?」(笑)
An.:  先生、これはグッときますね~!
Dr.:  ところが、ショーの生まれた時代背景とその思考つまり考え方を研究してみると、ショーの寸言には単なるジョーク以上の、真剣な姿勢が篭められていることも判って来るんです。お話は続く、です。
発音・発声障害の矯正法 クイーンズ・イングリッシュと下町英語

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