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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

第58回日本聴覚医学会に参加しました ~ 信州・松本味の旅 2013 ~看護課 高橋 邦子

 去る2013年10月24日(木)から25日(金)、長野県松本市のホテル「ブエナビスタ」において、第58回日本聴覚医学会が開催され、院長に同行し参加させていただきました(図1)。

 仙台から(私の場合は、くりこま高原駅からですが)東北新幹線で、大宮へ。大宮で長野新幹線に乗り換えて長野まで。長野からJR信越本線に乗り換えて松本へ。トータルの乗車時間は、4時間+α。例年ですと、紅葉の季節かなと期待していましたが、なんと台風が2個も接近しているという状況で、連日雨模様。更に、今年は今までの気温が高かったので、紅葉にも一足早い感じでした。

松本城と開智学校

 信州の松本は、国宝松本城を中心とする旧城下町です(図2)。幸いにも戦災を免れ、日本で最も古い小学校のひとつ旧開智学校(重要文化財)など歴史的建造物が多く残っています(図3)。

松本のグルメ

 松本のグルメといえば、丸谷才一氏が『食通知ったかぶり』の中で「信濃にはソバとサクラと」と紹介しています。そこから引用させていただきますと、まず、サクラと呼ばれる馬刺しを食して、「この何やら艶な趣のある赤黒い肉片を生姜醤油にちょいとひたしてから口にすると、さながら川の流れに舞い落ちた牡丹雪のやうに溶けてゆく。…中略…もちろん厭な匂ひなんかぜんぜんない。特にすばらしいのは喉越しのよさで、…中略…それは絹ごしのやうな感触で優しくすべってゆく。」と綴っております。

 そばにいたっては、昔から目がないと自分で称しており、小林秀雄氏が褒めたという女鳥羽川のほとりにある「女鳥羽そば」というお店を紹介しております。

(図1)ホテル外観
(図1)ホテル外観
(図2)国宝・松本城
(図2)国宝・松本城
(図3)開智学校
(図3)開智学校

信州そば

 信濃の国は、水はけがよく昼夜の気温差が大きいことから、実の締まった美味いそばが取れるといわれており、そばの栽培が盛んに行われています。麺の形にして食べる〝そば切り〟の発祥の地でもあると伝えられています。信州の土地と気候はそばの栽培に大変適しており、良質のそばが取れて信州そばが有名になりました。更に、善光寺参りに来る人々の盛んな往来によって、国中にそばが伝わったのではないかという説もあります。

 『信州そば』と表示できるのは、次の基準を満たしているものです。

  • ① 長野県内で製造されたもの
  • ② 手打、手打式(風)のもの
  • ③ 小麦粉総重量に対し加水量が38%以上のもの
  • ④ 良質のそば粉の使用量が水分を除く全重量の50%以上のもの

馬刺し

 馬肉は、牛と異なり油脂の融点が低く、口内の温度でも十分溶けるため、霜降り肉でも刺身で美味しく食べられます。
 馬肉を生で食べる習慣は、青森県、山形県、福島県、長野県、山梨県、熊本県に存在します。
 馬肉食の習慣のある地域は古来より馬の名産地であり、馬の生産と直結した文化が根付いていたと考えられます。獣肉食が一般的ではなかった江戸時代の日本本土では、廃用となった役用家畜の肉を食すことは半ば非公然ながら、重要な蛋白源として重用されてきました。

 馬肉は、他の畜肉と比較すると低カロリー、低脂肪の上、高たんぱく質でカルシウム、鉄分、ビタミン類も豊富に含まれているとされています。このように栄養価が高いため、滋養強壮、薬膳料理ともされます。

馬刺しを最初に食べたのは?

 肥後国を治めた武将、加藤清正が豊臣秀吉の命により朝鮮に出兵した際に過酷な籠城戦を強いられて食料が尽き、やむなく陣中で軍馬を食したのが始まりといわれています。
 江戸時代には「高熱を伴う病」に効くと謳われていました。現代でも患部に貼り付けて熱を取るなどの民間療法も残っています。

 

なぜさくら肉と呼ばれるの?

 馬肉は「さくら肉」とも呼ばれ、馬肉を食べる文化のない地域でも牛肉ユッケの代替品として食べられる「さくらユッケ」などは有名です。肉をカットして空気に触れた時に赤身に含まれるヘモグロビンの作用できれいな桜色になり、また馬肉の切り身を並べた様子が桜の花びらを連想させることから由来すると言われています。

学会前夜

 信州入りしたのであれば、まずはおそばをということで、ホテルの近くの「みよ田」というそばきりのお店で夕飯(図4)。

 そば屋におまかせセットを注文したのですが、やはりその中には馬刺しも……お酒は、「みよ田」というお酒に挑戦(図5)。この辺のお酒は、甘口が多いらしい(図6~9)。

女鳥羽そば

 学会初日の昼食は、昭和大学教授(当時)の三邉武幸先生とご一緒させていただきました、丸谷才一氏お勧めの「女鳥羽そば」(図10・11)。
 松本市街地を流れる女鳥羽川沿いにある、なまこ壁(土蔵などの壁塗りの様式の一つ)造りのおそば屋さん。店内は、松本の民芸家具で、落ち着いた雰囲気をかもし出しております(図12)。

 

 名物の三段重ねのせいろは、三種類の風味が楽しめるということで、早速注文しました。一段目には、海苔。二段目のとろろを食べるときには、つゆに胡麻を入れ、三段目は、抹茶がかかっていました(図13)。三邉先生が注文した温かいおそばは、輪島塗の器が使われており、そばそのものだけではないこだわりが感じられました。

 そばは、細くて上品な味。月並みですが、歯ごたえもあり喉越しも良かったです。つゆは、甘味が抑えられ、少し酸味がある感じで、私の好みの味でした。

 最後に出てきたそば湯は、ゆで汁ではなく、そば粉を溶かしたものだそうです(図14)。そば湯を飲む風習は、まず信州で始まったといわれており、そばを味わった後に、必ず飲む事は、栄養学を知らなかった昔から勧められていました。今では、たんぱく質やビタミンが豊富に含まれているといわれています。美容と健康のためでもありますが、うま味成分が凝縮されているそば湯が大好きな私は、全部飲み干してしまいました。

 もちろんここでも馬刺しはいただきました(図15)。口に入れたとたん溶けてしまいそうな馬刺しを堪能しました。

(図4)みよ田の入口
(図4)みよ田の入口
(図5)お酒とつきだし
(図5)お酒とつきだし
(図6)香ばしい焼き味噌
(図6)香ばしい焼き味噌
(図7)馬刺し
(図7)馬刺し
(図8)みよ田のそば
(図8)みよ田のそば
(図9)食後のデザート
(図9)食後のデザート
(図10)女鳥羽そば
(図10)女鳥羽そば
(図11)医学コミック『花子さんの場合』で主役の三邉先生
(図11)医学コミック『花子さんの場合』で主役の三邉先生
(図12)女鳥羽そばの店内
(図12)女鳥羽そばの店内
(図13)三重そば
(図13)三重そば
(図14)そば湯で一息
(図14)そば湯で一息
(図15)ここでも馬刺し
(図15)ここでも馬刺し

学会2日目のランチ

 学会2日目のランチは、ランチョンセミナーのお弁当(図16)。
 さすがにソバとサクラ入りではありませんでした。

 ランチョンセミナーは、「人工内耳の新しい流れ」と題して、西オーストラリア大学教授の講演。新しいタイプの残存聴力活用型(EAS)と呼ばれる人工内耳を中心に最新の診断・治療のお話でした。例えば、低音部に残存聴力がある患者さんに対して、その聴力を残したまま、人工内耳の挿入を行い、高音部は、人工内耳からの電気刺激、低音部は外耳道からの音響刺激という2つの刺激方法を組み合わせることが可能になり、より低侵襲手術であるとのお話でした。

 蝸牛機能はもちろん前庭機能も温存出来る事が判ってきたため、残存聴力がない場合でも有効であり、今後の治療に役立つであろうと。
 私は、2日間で重くなったお腹と頭を抱えながら、帰路へ。

(図16)学会で配られるお弁当
(図16)学会で配られるお弁当

おわりに

 信州松本には、紹介したそばや馬刺しの他、郷土料理の代表である「山賊焼き」。野沢菜などの「漬物」。「信州味噌」。りんごやぶどうを代表する「果物」。そして、地酒やワイン等々。おいしいものがいっぱい。それらすべて全部ごちそうさまでした。
 最後に、学会から帰ってから2週間後、「女鳥羽そば」の店舗が半焼したとの情報が。ホームページを確認してみると只今休業中とか。お見舞いを申し上げると共に、一日も早い再開をお祈りしております。

女鳥羽そばホームページ

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