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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

健康情報誌「わかさ」に、耳鳴りについての記事が掲載されました 後編

音響療法は自宅でも簡単にでき、低音量のラジオや音楽を室内のBGMとして聞き流すだけ

健康情報誌「わかさ」に、耳鳴りについての記事が掲載されました。
前号に引き続き、雑誌に掲載された取材内容の後編を、ご紹介致します。

耳鳴りは改善すると前向きに考えよう

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 耳鳴りを改善するうえで最も大切なのは、発症後にできるだけ早く耳鼻科で診察を受けることです。突発性難聴などに伴う耳鳴りは、治療を早く受けるほど治る確率が高まり、後遺症も残りにくくなります。

 一方、耳鳴りが慢性化しているケースでは完治が難しくなりますが、その場合でも耳鼻科を受診して下さい。耳鳴りの悪化を食い止めたり、日常生活の苦痛を緩和させたりする対策がアドバイスできるからです。

 そうした対策の一つが前の記事で紹介した音響セラピーで、時間はかかるものの、日常生活の苦痛を大幅に軽減させる効果が期待できます。

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 私たちのクリニックでは、音響セラピーを始める前に、まず本人から耳鳴りの話をうかがいます。それから耳鳴りのしくみを正しく理解してもらい、患者さんが必要以上に耳鳴りを不安に思わなくてもいいことを説明します。というのも、耳鳴りに過剰な不安や恐怖心を抱いていると、音響セラピーの効果が弱まるばかりか、耳鳴りを悪化させる恐れがあるからです。

 実は、耳鳴りに悩む人の傾向として、一つのことを最後までやらなければ気がすまない性格(完璧主義)や、いつまでも思い悩んで悲観的な考え方をするタイプが目立ちます。

 焦りや心配は、耳鳴りを余計に意識させて不快感も大きくします。音響セラピーを行うときは、時間がかかっても耳鳴りはいつか改善すると前向きに考えることから始めてください。

就寝の二時間前にはテレビを控えよう

では、就寝時の音響セラピーのやり方を紹介しましょう。

●スピーカー付きオーディオ、またはラジオを用意する

 家庭用のオーディオ(CDデッキ)、またはラジオを用意してもらいますが、スリープタイマーの機能があれば寝ている間に電源が切れて便利です。
 また、イヤホンやヘッドホンを使わないほうが耳への圧迫感もなく、音を聞き流しやすくなります。ただし、「かすかに聞こえる」とはいえ、難聴の人は大音量にしないと聞きにくい場合があり、家族への気づかいも出てきます。その場合は、イヤホンを使って聞くようにおすすめしています。

●リラックスしやすい睡眠環境を整える

 就寝時に行う場合は、首に負担のかからない枕や柔らかすぎない敷き布団など、快適な睡眠ができる環境を整えてください。
 そして、就寝の二時間前にはテレビを消しましょう。テレビを寝る直前まで見ていると、脳が刺激されて入眠しにくくなるからです。また、寝付きをよくするには、日中に自然光を浴びてウォーキングなど適度な運動もすることが効果的です。

外国語のニュースやクラシックがおすすめ

●聞き流せる程度の音量でラジオや音楽CDを聞き流す

 ラジオや音楽CDは、聞こえるか聞こえないか程度の音量で流しましょう。
 ラジオ番組や音楽は、内容に聞き入らないBGM(背景音)になるような外国語のニュースやクラシック音楽がおすすめです。逆に、つい気になってしまうスポーツ中継やトーク番組、アップテンポな曲がかかる番組は向いていません。
 もし不快でなければ、ラジオでチューニングの合わないときに出る雑音を流してもいいでしょう。

●性急に改善効果を求めず、気長に続ける

 音響セラピーは、即効性がある治療法ではありません。
 焦らず急がず、毎日の習慣として気長に続けていたら、いつのまにか耳鳴りが気にならなくなっていた、というゆっくりとした効果の現れ方になります。
 そのため、音響セラピーにたっぷり時間をかけるようにして、自宅で過ごすことが多い人は、できれば一日中、BGMを流してください。

 なお、ここで紹介した音響セラピーのやり方は、絶対に守らなければいけないことではなく、あくまでも目安にすぎません。自分にとってやりやすい音楽や環境、時間帯を選んで試してみることをおすすめします。

特殊機器を使った音響療法

●マスカー療法

 雑音を出す補聴器型の機器(マスカー)を使って耳鳴りを抑える治療法。耳鳴りが聞こえない程度の雑音を長時間聞くと、耳鳴りが消えるという現象を利用している。即効性がある反面、効果は数分から数日と一時的で、現在では機器が販売されていないため、マスカー療法を行う病医院は少ない。

●TRT療法

 耳鳴りよりも小さな雑音が出る補聴器型の小型機器(TCI)を耳に装着して、耳鳴りに鳴らしていく治療法。雑音を大音量で聞くマスカー療法より安全で、長時間聞いても聴覚に障害が出る心配はない。

 TCIを一日に六~八時間ほど装着してすごすと、三ヶ月後くらいから耳鳴りの苦痛が軽減されてくる。有効率は70~80%で、いったん効果が出れば永続的に続くケースが多い。

(健康情報誌「わかさ」2012年10月号より)

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