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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集


◆こどものSAS
 

江澤アナウンサー(以下An.
三好先生前回は、江澤がいっつも眠いのはなぜか? という永遠のナゾを解決して頂いて、有難うございました。
本日は、何のお話しを伺えるんでしょう?
三好院長(以下Dr.) 
今回は、江澤さんがとっても心配していた子どものいびきとSASについて、お話ししましょう。

An.:  すごく太った大人の人はともかく、子どもさんがいびきやSASで苦しめられるなんて、やっぱり心配ですものね。でも、子どもさんのいびきやSASなんて、どうして発生するんでしょうか?

Dr.:  すごく太った大人では、気道つまり空気の通り道に脂肪がくっついたり、のどの筋肉や粘膜が緩み切って狭くなり、空気の通過のときにまさつ音の出るのが、そもそものいびきの基本です。それが余りにひどくなって、空気自体が気道を通り抜けることができなくなると、それが睡眠時無呼吸症候群つまりSASになるんです。子どもでも、そうした経緯は似ています。

An.:  そうすると子どもさんでも、気道が狭まるようなことが起きると、いびきやSASになるんでしょうか?子どもさんでは、どんなところが狭くなるんでしょうか。

Dr.:  江澤さんは「扁桃」って名前をご存じですか?

An.:  ああ! 子どもが良くノドを腫らして、たかーい熱の出る病気。

Dr.:  子どもの鼻やノドには、空気や食べ物の入り口添いに、丸くリング状にリンパ組織が存在します。これは、まだ免疫力が十分ではない子どもの体に、体外からウィルスやバイ菌などの、有害物質が入ろうとするときに、それらをブロックする役割を担っているんです。

An.:  じゃあ子どもがノドを腫らして熱が出るのって、体の防衛反応なんですね。

Dr.:  「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言って、のどのリンパ組織が頑張り過ぎちゃうと、食事がノドを通らなくなったりして、逆効果の面もあるんですけど・・・・・・。基本は、人間の防御システムなんです。

An.:  大人では、あんまりノドを腫らしたり、しなくなりますよね?

Dr.:  子どもの体が成長して、体の防衛システムが整って来ると、扁桃などのリンパ組織は勤めを終えて小さくなります。

An.:  お役御免ってヤツですね。

Dr.:  これら、鼻やノドのリンパ組織は、空気や食物の体内への入り口である、鼻の奥からノド全体を囲むように位置していて、「ワルダイエルの扁桃輪」と呼ばれています。

An.:  それが大き過ぎると、子どもでもいびきやSASの原因になっちゃうんですね。
勤めを終えて小さくなるのは、いつ頃のことなんですか?

Dr.:  江澤さんの話題にしておられる扁桃は、正式名称を口蓋扁桃って言うんですけど。これのいちばん大きいピークは、6歳から7歳ですね。そして鼻の奥でノドの真上に存在するリンパ組織を、俗にアデノイドって言っていて、正式名を咽頭扁桃って称しますが。これのピークが、4歳から5歳です。その時期を過ぎると、たいていは縮小していくものです。

An.:  じゃあそれらが大きい年令と言うと、結構小さな子どもさんでも、いびきやSASに悩まされますよね?

Dr.:  小さな子どもさんのいびきやSASで心配なのは、ノドで息が詰まってうまく呼吸できていないと、胸の形が変形してしまうことなんです。

An.:  えっ、胸がヘンになるんですか!?

Dr.:  息を吸うときにノドの部分が閉塞していたら、ノドから空気が入って来ないので、胸廓つまり胸の肋骨が凹みます。この状況は、ノドの狭い状態が解決するまで持続しますから、結果的に子どもさんの柔らかい胸は、へっこんだ形のままで固定します。

An.:  じゃ一生、胸の変形は治らない。

Dr.:  胸板が、内側に引っ込んだままで固まっちゃうもんですから、心臓を圧迫したり肺も十分に膨らまなかったり・・・・・・。
余り良い影響は無いみたいですね。ですから、子どもさんのいびきやSASは、ほったらかしにしちゃいけないんです。

An.:  それは大変。三好先生、子どもさんのいびきやSASは、どうやって治療するんでしょうか?

Dr.:  これまでご説明しましたように、子どもさんのいびきやSASは、アデノイドや口蓋扁桃の肥大が原因です。これらは、子どもの免疫機能の一部を担っていると考えられますが、ひどいいびきやSASでは、優先順位を考えた上で手術になることが多いようです。

An.:  子どもさんでも、アデノイドや扁桃の手術はできるんですか。

Dr.:  入院設備のある総合病院で、全身麻酔のもとに手術しますので、安心なんです。

An.:  子どもさんのいびきやSASは、かわいそうですものね。それに、胸廓の変形まで起こるって聞いたら、とっても知らん顔できませんものね。
アレッ、先生。子どもの免疫機能を守る役割を果たす、アデノイドや扁桃なんですけど、ピークを過ぎても小さくならない人もいるんですか?大人でも扁桃腺の手術を受ける人って、いますよね。

※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。

Dr.:  たしかに、アデノイドや扁桃肥大のその時期を過ぎても、小さくならない人もゼロではありません。10歳近くなっても、アデノイドや口蓋扁桃の肥大があって、そのためにいびきやSASを伴うようでしたら、手術をお薦めしますね。

An.:  10歳近くなるとアデノイドや扁桃は、子どもさんの免疫機能を守る時期も終えていることですし。

Dr.:  手術を受けても、特に悪影響はありませんから。

An.:  三好先生、本日も新鮮な知識を教えて頂いて、有難うございました。

Dr.:  有難うございました。

 

 

◆大人のSAS
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An.:  三好先生、前回は子どもさんのいびきやSASについて、その治療法を教えて頂きました。子どもさんの場合の対応策は判ったんですけど、一般の大人の人のいびきやSASは、どうやって治療するんですか?

Dr.:  あまりに程度がひどくって、最終的に手術したり、CPAPと称して呼吸を管理したりする治療法はあるんですけどね。まあ、全員が全員そこまでひどくないことも少なくないので、まず生活習慣の改善やなんらかの工夫で、解決する方法を模索して見ましょう。

An.:  先生、それって・・・・・・痛くない方法なんですよね?

Dr.:  寝ているときの姿勢を変えるだけでも、いびきの納まることはありますし。

An.:  と言いますと?

Dr.:  人は寝ているときは、仰向けに眠っていることが多いんですけれども、ね。

An.:  フツー、そうですよね。

Dr.:  上を向いて寝ていると、ノドの粘膜の柔らかい部分、つまり口蓋垂を含めたノドの天井部分、これを軟口蓋って呼ぶんですけど。

An.:  それと、口蓋扁桃、そして舌根部、などもですよね。

Dr.:  そうです。それらが仰向け状態では、万有引力の法則にしたがって下がり、気道が狭くなります。

An.:  ニュートンの法則に従うんですね!

Dr.:  余談ですが江澤さん、ニュートンが引力を発明するまでは、リンゴは地面に落ちなかったんです。

An.:  エッ、ホントですか? リンゴはどうなったんですか?

Dr.:  だってそれまでは、アダムとイブがリンゴを食べてしまったんですよ(笑)。
聖書に書いてあったかどうかは、忘れましたが。

An.:  先生、先生。脱線気味ですよ。

Dr.:  リンゴはともかくとして気道が狭ければまさつ音が発生し、それがいびきとなります。

An.:  フーン。仰向き寝は、いびきには良くないんですね。

Dr.:  その意味から、横向きに寝るだけでも、いびきは大幅に減少します。

An.:  それは具体的には、どうすれば良いんでしょうか?

Dr.:  例えば、枕に傾斜を付け頭が横を向くようにするのも一方法です。枕の下の片方に、本などを積み重ねておく方法もあります。

An.:  これがホントの「つん読」ですね。

Dr.:  あるいは、パジャマの背中に丸めたタオルを縫い付け、体が横向きになるようにする、なんてこともできます。

An.:  仰向きになれませんものねぇ。

Dr.:  抱き枕って手段もあります。
大きめの抱き枕を、可能なら足まで搦めるようにして、横向きに寝るのもいいかも知れません。

An.:  暖かそうで、ぐっすり眠れそう!

Dr.:  スキー帽みたいな柔らかい帽子の中に、タオルなどを丸めて入れ、首が横を向くようにすることもできます。

An.:  クリスマスなら、サンタさんの帽子も良さそう。

Dr.:  問題は、これらの努力は安らかに眠るための手段だと言うことで、余りに苦しくて寝づらかったりしないよう。手段と目的が、逆になっちゃいます。

An.:  判りました。

Dr.:  話は変わりますが、眠っているときの手や腕の位置も、いびきの原因となっていることもあります。

An.:  腕の位置ですか?

Dr.:  腕をですね、まぁ本人は眠っていて無意識なんでしょうけれど。首や顎を、圧迫する位置に宛がってしまっていることがあって。

An.:  ありますよねぇ。

Dr.:  手を胸の上で組んで寝る習慣の人もいますが、胸廓を圧迫しますので余り良くないみたいです。

An.:  悪い夢を見そうですね。

Dr.:  それから、バンザイの格好をしながら眠る人っていますよね。

An.:  知ってます、知ってます。

Dr.:  そうすると、首が圧迫されて気道が狭くなりますから、いびきやSASのもととなります。

An.:  なんだか、目に浮かぶような気がします。 「ゴォー、ゴォー」って言って。

Dr.:  この姿勢は、どちらかと言うと、中年女性や肥満男性に多い姿勢だと、言われているんですけど。もちろん、私が言ったんじゃありません。「いびき博士」の池松武之亮先生が、書いておられたことですよ。

An.:  池松先生は、ご自分の入院患者のいびきを録音し、寝相との関係を記録しておられましたよね。

Dr.:  そういう努力なしには、真実は明らかにならないんです。

An.:  そんな「バンザイいびき」は、どうすれば良いんでしょうね。

Dr.:  これも、横向き寝で解決してしまいますので。治療の基本に忠実に、というところでしょうか。

An.:  「基本に忠実に」ですね。
三好先生、本日もとっても面白いお話しがまぁ次から次へと。
あっと言う間に、時間が過ぎてしまいました。
有難うございました。次回も、どうか宜しくお願いします。

 

◆いびきと寝具の関係

An.:  三好先生、前回のいびきと寝相のお話し、すっごく楽しく聞かせて頂きました。
今日のお話しは、いったい何でしょう。
江澤はワクワクしてます。

Dr.:  今日は、いびきやSASと、寝具つまり枕やベッドのお話しをしましょう。

An.:  枕といびき、ですか! 今日もなんだか、楽しそう。

Dr.:  グッスリ眠れて、良い夢を見るためには、枕などの寝具への気配りを忘れちゃいけません。

An.:  寝具に気配りですね!

Dr.:  極端な話、固い枕や高すぎる枕を使って、おまけに柔らかすぎる布団と組合せて寝た場合、首が強く曲がることとなりますので、気道も当然曲がります。

An.:  そうですよね。

Dr.:  曲がった気道はやっぱり狭くなり、まさにいびきをかく準備状態です。

An.:  枕と布団のミスマッチで、すごいいびきとなることもある、と言うことですね。

Dr.:  十分な睡眠がとれるだけでなく、いびきやSASを生じにくい枕として、これから挙げるいくつかの条件を満たすものが、望ましいでしょう。

An.:  どんな条件でしょう。

Dr.:  まず当たり前ですが、寝心地の良い枕。それから、立っているときと同じように、自然な姿勢のとれるもの。

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An.:  のびのびと眠れる、ということですね。

Dr.:  そして、寝返りが楽にうてるもの。

An.:  それは重要ですよね。

Dr.:  頭が蒸れたりしないように、通気性のある素材でできていて、固すぎず柔らかすぎない枕。

An.:  条件が厳しくなって来ましたね(笑)。

Dr.:  それから、これが大切なんですが、横向きに寝たときに下になった肩がしびれないものを、選ぶ必要があります。

An.:  いびき防止には、横向き寝が重要ですものね。

Dr.:  うっかりすると、「安眠枕」と表示された製品に目が向きがちですけど、これは仰向き寝に適した枕の作りになっていて・・・・・・。

An.:  そうか! 横向き寝には使いづらい。

Dr.:  いびき予防のためには、横向き寝が一番ですから、繰り返しになりますが、横向きになったときに下になった肩がしびれないことは大切です。

An.:  横向き寝のときの、肩の高さを計算に入れて、枕を選ぶんですね。

Dr.:  先にご説明したように、枕と布団の組みあわせによって気道の広さが変化するわけですから、両者の相性には気をつけてください。

An.:  そこまでは、あんまり考えないことも多いですからねぇ。

Dr.:  だって枕だけその人に合ったものを使っていても、ふっかふかで体の沈み込む布団を組み合わせたんじゃ、気道が曲がっちゃって。

An.:  高すぎる枕を使ってるのと、同じになっちゃいますものね。

Dr.:  当然と言えば当然なんですけどね。固めの敷き布団には固めの枕を、柔らかめの布団には柔らかめの枕を、組合せて頂ければ、と思います。

An.:  先生のいつもお話しになる、「基本に忠実に」と言うところでしょうか。

Dr.:  その他にも、枕によっては首がきつく曲がり、気道の狭くなるものがありますから、注意してください。

An.:  具体的には、どんな枕に気をつければ良いでしょう? 

Dr.:  例えば高すぎる枕なんて、ときどきありますよね。自宅じゃなくって、高級な外資系ホテルなんかで。

An.:  江澤は、外資系はあんまり・・・・・・。

Dr.:  あれは眠るときの習慣の違いなんですけれど、日本じゃ眠るとき完全に水平に寝るじゃないですか。

An.:  そうじゃないと寝付けないし。

Dr.:  外資系ホテルの高い枕は、仰向けに眠るんじゃなくって、枕に寄り掛かって休むように考えられた高さなんです。日本人が、自宅の枕と同じようにあの枕を使うと・・・・・・。
An.:  そうか! 体が浮いてしまって・・・・・・。

Dr.:  とても、眠るどころじゃなくなりますよねぇ。

An.:  生活習慣の違いって、意外に大きいですものね。

Dr.:  それから、顎が挙がってしまう枕も、やつぱり良くないですね。

An.:  ええっと、顎が挙がると、口をパクッと開いて・・・・・・。そうか、すごくいびきをかきそう。「ゴーッ、ゴーッ」って。

Dr.:  適度に顎の下がるタイプが、そうなりづらいですものね。

An.:  かと言って、顎が落ち込んじゃうのも、先生余り良くなさそうですね。

Dr.:  顎が、気道を圧迫しますからね。やっぱりいびきのもとと、なりそうです。

An.:  先生、一言で言うなら、快適な寝具が快適な睡眠に直結し、いびきやSASも起こりにくいってことですね。

Dr.:  さすが一を聞いて十を知る江澤さん。今日も、百点満点でしたね。

An.:  三好先生、本日もタメになるお話しを、どうも有難うございました。
お話しを活かして、江澤はたった今からでも、快適睡眠で「いびきよ、さようなら」宣言をします。


関連リンク: 索引 いびき
  索引 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  索引 ラジオ3443通信
  索引 げんき倶楽部杜人

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No.200
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