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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 
 
三好耳鼻咽喉科クリニック ラジオレポート(15)
 

耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉(いんこう)科クリニック」。院長を務める三好彰医師(日本睡眠学会認定医)は、30年以上、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は、6月にラジオで放送された「いびき」に関する内容をシリーズで紹介する。

 [An.…江澤アナウンサー 、 Dr.…三好院長

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An.:  三好先生、今回の話題は「いびき」ですよね。
  ガー、ガー…(いびきの音)

Dr.:  あれ、江澤さん。妙な音が聞こえてきませんか?

An.:  もしかするとこれって、本日のテーマであるいびきの音じゃないですか?

Dr.:  その通り。一言でいびきといっても、すごい音でしょう。

An.:  これは音がすさまじいだけじゃありませんね。いびきのごう音の間に、何にも聞こえない時間が切れ切れにあります。眠っている途中で呼吸が止まり、「大丈夫かしら」と心配になったころに、突然の大いびきが交じるんですね。

Dr.:  さすが江澤さん。それこそが睡眠時無呼吸症候群(SAS)と呼ばれる、現代の人類に恐ろしい脅威をもたらす病気なんです。

An.:  いびきって、実は病気だったんですか!? 私は今まで、いびきは健康であることの証明だと信じ込んでいました。

Dr.:  確かに昔は、「豪傑の鼾声、雷の如し」などといわれていました。

An.:  それは何ですか?

Dr.:  昔々、侍が戦場で翌朝に戦闘を控えていました。弱虫の侍ならば怖くて一睡もできない、つまり落ち着いて寝ることなんかできないわけです。それに対して、戦いがまったく怖くないというような豪傑の侍たちは、どんなに敵の大群が目の前にいても、堂々と睡眠をむさぼることができたのだそうです。それだけ十分に睡眠をとることができれば、翌朝の体調も万全。敵の兵士をバタバタとなぎ倒したと伝えられています。

An.:  へぇ~。

Dr.:  つまりこの言い伝えから分かることは、いびきは健康の証しと信じられてきたということです。

An.:  でも、いびきは病気なんですよね。

Dr.:  いびきは健康のシンボルではなく病気の一種であり、治療でコントロールできることも少なくない。こういったお話をシリーズでご説明します。


★いびきが激しいと窒息する!?

An.:  三好先生、私にはもう一つ気になることがあります。最初に聞いたいびきの音なんですが、途中で呼吸が止まっていました。そして、思い出したようにいびきをかいていたような気もするんですけれど。

Dr.:  これがSAS、いびきに関連する病気の本体なんです。いびきがあまりにひどいと、いびきといびきの間に呼吸が止まってしまうことがあります。この息詰まりが激しいと、血液の酸素濃度がとても下がって、眠っている最中に窒息状態になるんです。

An.:  先ほど聞いたのは、窒息する音だったんですね。

Dr.:  眠るたびに窒息を起こすため、いびきをかいている本人の脳や体は、見掛けと違って実際には眠っていないんです。徹夜で不眠状態が続いたら、翌朝はどうなると思いますか?

An.:  私も学生のころ、よく徹夜で受験勉強をしましたが、試験本番で居眠りしてしまい、結局まともな答案は書けませんでした。

Dr.:  それと同じことが、いびきの常習者にも起こります。昔、新幹線の運転士が居眠りをして、駅のホームを通り過ぎてしまうという事故がありましたが、その背景にはSASがあったといわれています。

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An.:  いびきって、本当はとても怖い病気だったんですね。

Dr.:  このいびきやSASは、大人でも子どもでも発生するんです。

An.:  子どももいびきをかくんですか!?

Dr.:  子どものいびきは、のどのへんとうやアデノイドという子どもの免疫にかかわるリンパ組織の肥大が主な原因です。幸い、成長とともにこれらは改善するので、大抵は子どもの成長を待つのですが、あまりにひどい場合には、へんとうやアデノイドの手術が必要です。これも、次回ご説明します。

An.:  子どもがいびきやSASで苦しむなんて、見ていられませんものね。

★いびきの治療を開発した日本人

Dr.:  第二次世界大戦直後までは病気扱いされなかったいびきを、世界で初めて病気として認識し、その治療法を開発したのは、日本の耳鼻科医でした。

An.:  へぇ~、日本人だったんですか!

Dr.:  お名前を池松武之亮先生といいます。この先生の医院に、ある女性が訪ねてきました。その様子が、先生の随筆「いびき博士」という本に書かれています。

An.:  それではその部分を要約して読みます。「昭和27年の春、23歳のお嬢さんを母親が診察につれて来た。『先生、いびきは治りますか? 実はこの娘が一昨日結婚したんですが、あんまりいびきが高いという、それだけの理由でゆうべ帰されたんです。たった一日だけの結婚生活で』。(中略)診察してみると、鼻やのどになにも異常が見当らない。しかしついに、ある異常をのどに発見したのである。簡単な手術を試み、その日は不安ながらもその母娘をなぐさめつつ帰したが、一週間目には、さしもの“離婚いびき”がとうとう治った」。こんなことが実際に起こったんですか?

Dr.:  この出来事以来、いびきは耳鼻科で手術するなど、さまざまな治療法が開発されるようになったんです。私自身も、池松先生が亡くなられる直前に、いびき手術を見学しに行って、その方法で手術していますよ。

An.:  そのお話、ぜひ聞きたいです。

Dr.:  続きはまた次回、どうぞお楽しみに。


関連リンク: 用語集 げんき倶楽部杜人
用語集 いびき
  用語集 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  デジタルコミック いびきをかく夜は恐ろしい

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No.198
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