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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集


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◆年齢と難聴◆

 今日は、年齢と聴力という事で話をすすめていきますが、まずこのグラフ(右)を見て下さい。このグラフは、1967年に海外の研究者が報告したもので、それに似た研究が1980年代の前半に鈴木淳一先生がやられており、同様の研究結果がでています。1980年頃までは、一般的な考え方として「老人性難聴」、歳をとれば耳が悪くなるという考え方が主流だったんですが、21世紀に入ってからは、年齢と聴覚は一致しないという否定的な話しがでてきました。

 しかしそれは、1967年にすでに分かっていたんですが、アフリカにバン族という部族がいるんですが、そこでは難聴に罹っている人は一人もいないんです。

  それと、2002年の日本の統計データでは、75歳以上の方でも25歳並みの聴力を持った方は7%いる。

 つまり、年齢と聴力が一致していない。また、こういったグラフにしてみても、非常にバラツキがある。また、このグラフを現在の人にあてはめられない理由として、当時は第二次世界大戦(太平洋戦争)に従軍した人たちもいたため、戦争による騒音で「騒音性難聴」になっていたと考えられる。日本の高齢者で、聴力が非常に良い人は、戦後の平和な時代に生まれたからではないか、と考えられています。

 一昔前は、造船所や自動車の組み立て工場では、作業の騒音による「職業性難聴」がすごく多かったんですが、最近は規制が厳しくなったので、大企業の現場では劇的に減っています。ただ、スタッフが30人以下の中小企業の現場では、まだまだ解決されてはいません。

 また、現実的に一番問題になっているのが農業です。特に昔の機械を使用している農家などは、企業に比べて徹底がされにくいという面があります。それは、労働者に関しては、事業所に対して法律の規制がありますが、農業をやっている人は個人事業主という自らが管理者になるので、守られにくいという事です。それと、都市部
においても電車の騒音などで難聴になる事もあります。

  例えば、虎ノ門駅には8種類位の電車が乗り入れていますが、乗り換えをするある場所だけが、90dB以上の騒音を検知しました。そういった場所だと、通勤の時間の長い人だと難聴になる可能性が高いです。

 こういった環境の変化や、法制度の充実化によって一昔前に問題視されていた事が改善され、このグラフのような法則は当てはまらなくなってきていますので、問診をとるときに、患者さんの職業などの背景を掘り上げて確認すると、より良い診療が提供できると思います。

◆騒音と難聴◆

 今回は、騒音と聴力の関係についてお話していきます。
 われわれを取り巻く環境には、虫の音のような小さな音から、工事現場のような場所での大きな音まであります。

 きこえの悪い方に耳元で大きな声で話しかけるときの大きさは約80dbありますし、地下鉄ラッシュ時のホームでは瞬間的に95db近くになることもあります。ビル工事の現場で発する騒音は115db以上に及ぶことさえあります。

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 図を見ていただくとわかるように、環境音・自然界の音には、実に0dBから130dbまでの音が存在しています。ロックコンサート会場では110dbを規準にして会場の音響設定していることがほとんどです。スピーカのすぐそばの席だったりすると130db近い音に曝されるリスクがあると考えた方がよいかも知れません。我々の耳はある程度までの騒音に対してはそれなりの耐性を持ち合わせていますが、それでも一定時間以上騒音に曝露されてしまうと、音によって耳が壊されてしまいます。

 また、音に対する耐性も人によって変化します。例えば、自分の好みの音楽を大音量で聴いても、ある程度の時間までなら難聴にならないのです。かたや、あまり好みではない音楽の場合、難聴になったりします。

 1日あたりの騒音聴取の許容リミット、そのガイドラインが米国から発信されています。
 それによりますと、

● 85db-------- 8時間(騒音職場の定義)
● 91db-------- 2時間
● 94db-------- 1時間
●100db--------15分
●106db--------4分未満
●115db--------30秒
●130db--------瞬間に聾(災害、急性音響外傷難聴)

となっています。環境騒音の図と比べると我々が日常的にそういった騒音に曝されていることがよくわかると思います。

 健康に良かれと行っているウォーキングやジョギングでも交通量の激しい幹線道路沿いでとなると何によいのやらということになってしまいかねません。

 いつまでもよいきこえを維持するためには、若いうちから、通勤時の耳ストレスの軽減や偶発的な騒音障害を回避するための耳せんなど、耳を守ることを行っていくことがとても大切なのです。

 次回は、難聴によって生じるコミュニケーションエラーと認知機能についてお話しをしていきます。


関連リンク: 用語集 中川雅文先生
  用語集 難聴
  用語集 音響性外傷
  用語集 騒音性難聴

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No.197
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