3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

キーワード:めまい・めまい専門医・学会発表

院長の学会ファイルより
三好 彰(三好耳鼻咽喉科クリニック)
中山明峰(名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室)
三邉武幸(昭和大学藤が丘病院耳鼻咽喉科)
石川和夫(秋田大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)
第69回日本めまい平衡医学会
期日:2010年11月18日
会場:国立京都国際会館


はじめに

 当院を受診した、小脳橋角部髄膜腫の3症例(臨床診断)を報告する。

 症例1は急性難聴で受診し、某病院脳外科のCTで発見された。

 症例2は左側耳鳴を主訴として初診となったが、その12年後に眼振が検出されMRIにて臨床診断に至った。

 症例3は、両側難聴を主訴とした初診より13年後に、眼振検査結果からMRI撮影に至った。3症例とも特徴的な症状に乏しく、いかにして適切な画像診断に結びつけるかが問題であった。
発表中の院長
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症例1 症 例:56歳 女性
既往歴:なし
現病歴:
2002年5月頃より、右側難聴に気付いていたが、10月31日に右側耳鳴と右側難聴が明確となったため、11月1日、三好耳鼻咽喉科クリニック(以下当院)を受診した。

受診時所見:

 鼓膜所見に異常なく、聴力像は下記のごとくであった。

受診後の経過(1):

 ステロイドの静注と内服で、聴力は改善した。

 本人の希望により紹介された某病院にてCTがなされ、右側小脳橋角部腫瘍が発見された(矢印)。


   
   

受診後の経過(2):

 2003年1月22日、髄膜腫の臨床診断のもと、γナイフが実施された。2008年3月1日、鼻出血にて当院を受診。その折の神経耳科学的検査結果は、下記のごとくであった。本症例は引き続き、脳外科と当院にて経過観察中である。


   

 
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症例2 症 例:44歳 女性
既往歴:なし
現病歴:
1995年始め頃より、左側難聴が持続するようになった、精査のため、同年1月31日、当院を受診した。

受診時所見:

 鼓膜所見に異常を認めず、聴力正常であった。

受診後の経過(1):

 2003年7月5日、左側外傷性鼓膜穿孔を発生、保存的治療にて穿孔は閉鎖するが、左側軽度感音難聴の状態となる。

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受診後の経過(2):

 2007年3月20日の職場健診で、左側難聴を指摘され、4月16日当院を受診した。
   
受診後の経過(3):

 2007年4月20日のMRIにて、小脳橋角部腫瘍検出(矢印)。東北大学脳外科にて髄膜腫疑いの診断名のもとにwait and scanとなる。

症例3 症 例:68歳 女性
既往歴:なし
現病歴:
左耳は、小児期より難聴気味であった。右耳は1991年頃から聴力が悪化し、1994年よりHA(補聴器)を使用している。1996年10月20日、当院を受診した。

診時所見(1996年10月20日):

 鼓膜所見に異常なく右側中等度感音難聴と、左側高度混合難聴を呈した。TGは右側A型で、左側はB型であった。

受診後の経過

 2003年、めまいにて某病院内科に入院しCTを撮影(P13参照)。めまいの原因は不明だが、耳が原因でない、と診断を受けた。
  当院初診より13年後の2009年9月14日、めまいと口内乾燥感にて当院を再受診した。この13年間、当院受診はなかった。

 再受診時、左側鼓膜にびらんを認め、耳漏が見られた。2回目、81歳での受診時所見(2009年9月〜10月)を以下に記す。脳腫瘍による、中枢性めまいが明らかとなっていた。


 
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再受診後の経過(1):

 左側小脳橋角部の病変を考えMRI(右図)を施行したところ、同部に髄膜腫を疑わせる所見(矢印)が得られた。そこで、2003年の内科のCT(右図)を見直したところ、すでに当時同一の病変の懸念(矢印)されることが判った。


再受診後の経過(2):

 一方、HA装用時の右耳の語音明瞭度は、80dBにて60%となることが判った。81歳という高齢も考え、HAを使用しながら、脳外科と当院で経過観察中となっている(右図)

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まとめ

1.臨床診断上、髄膜腫と考えられる小脳橋角部腫瘍の3症例を呈示した。

2.いずれも特徴的な症状に乏しく、症例3に至っては、再診が初診の13年後であった。

3.細心な観察と適切な画像診断により、いずれも臨床診断に至ったが、特に症例3において、専門医受診の重要さを痛感した。

4.結論としてめまいはめまい専門医へ、と強調せねばならない

国立京都国際会館にて
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関連リンク: 用語集 索引:学会発表
用語集 索引:めまい

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No.195
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