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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 

ラジオ3443通信 花粉症予防特集第二弾

江澤アナウンサー(以下An.): 三好先生、新年あけましておめでとうございます。
三好院長(以下Dr.): おめでとうございます。

An.: 三好先生から、そう言えば年賀状を頂きました。この年賀状の写真、すごいですよね!
Dr.: チベットで確認した、樹齢2600年のヒノキの木なんですよ(No. 192・1月号表紙)。

樹齢2600年のヒノキ
樹齢2600年のヒノキ
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An. : イエス・キリストが生まれる前から、生えているヒノキなんですね。でも、ヒノキってたしか、スギ花粉症と同じ花粉症を引き起こすんでしたよね?
Dr. : スギ花粉もヒノキ花粉も、アレルギー性鼻炎を発生する成分がまったく同じなので、花粉症の症状も完全におんなじです。
 ですから耳鼻科医はこれらをまとめて、スギ・ヒノキ花粉症、と呼ぶんです。
 だけどヒノキは関西に多くって、東北には少ないので、仙台市ではヒノキ花粉症は心配ありません。

An. : そういえば仙台では、あまりヒノキ花粉症って話題になりませんよね。
Dr. : ヒノキ植生の多い関西地方などでは、スギ花粉シーズンの終了後に、引き続きヒノキ花粉のシーズンがやって来ます。ですから関西のスギ・ヒノキ花粉症の方は、早春から梅雨入りの直前まで、花粉症症状に悩まされるんです。

An.: わたし、仙台で良かった(笑)。
  そういえば、わたし、スギ花粉症は日本独特だって、昔聞いたような覚えがあります。三好先生、チベットに樹齢2600年のヒノキが見られるってことは、チベットでもスギ・ヒノキ花粉症に悩まされるとか・・・・・・。 まさか、ね?
Dr.: スギ花粉症が発見されたのは、1964年の日光でのことなんです。日光には、昔から有名な日光スギ並木なんかがあったりして、江戸時代からその花粉は飛んでいたかも知れないんです。

An.: それじゃ、スギ花粉症は江戸時代からの病気だったんですか?
Dr.: 「春風邪はバカがひく」、という言葉があるように、その頃から春先になんとなく鼻がグズグズしたり、くしゃみが出たりすることはあったようです。ただ、それは風邪の一種類と考えられていたらしいんです。ところが・・・・・・。

An.: 風邪じゃなかったんですね?
Dr.: ある耳鼻科医が日光で調べたら、「春風邪」は花粉症、つまりスギの花粉に対するアレルギー性鼻炎だったんですね。で、花粉症の原因が日本スギ、横文字ではクリプトメリア・ジャポニカって言うんですけど。

An. : メイド・イン・ジャパンのスギ、ってことですか?
Dr. : ずばり、その通りです。江澤さん、サエてます!!(笑)
それでメイド・イン・ジャパンですから、スギの木は日本独特で国外には見られない。そう勘違いされちゃったんですね。

An.: ところが、チベットにも・・・・・・。
Dr.: その前に私たちの研究グループは、中国にもスギがあり、中国にもスギ花粉症があることを証明したんです。

An. : いったい、どうやって?
Dr. : 私は、中国の南京医科大学で客員教授をしていて、アレルギーを教えていたんです。20年前の当時は、中国ではアレルギーは少なかったものですから、その研究もまだ、進歩していなくって。
  ところが研究の一環として、南京医科大学で学生を相手にアレルギーの検査をしたら、存在しないはずのスギにアレルギー反応陽性が出るんです。

An.: それは、何を意味してるんですか?
Dr. : 日本でも、北海道と沖縄にはスギは生えてないはずなんですけど、北海道でアレルギー調査をしたら、やはりスギで反応が出たんです。原因もないのに、アレルギーの起きることはあり得ないので、現地調査をしました。そしたら北海道にも一部、スギの人工林の見られることが判って。つまりそのスギが飛ばした花粉が、反応の元だったんです。

An.: ってことは、中国でも。
Dr.: そうです。どこかに、スギがあるはずです。

An.: ホントに、あったんですか!?
Dr.: あるどころか、中国の天目山という古い山脈には、樹齢千年以上のスギの木の林がありました。
  ただこれら中国産のスギは、柳杉と呼ばれていて、横文字ならばクリプトメリア・フォルトネイ、というスギの種類なんです。

An.: メイド・イン・チャイナのスギなんですね!  すてき。
Dr. : 問題は、メイド・イン・ジャパンのスギと、メイド・イン・チャイナのスギが、本当に同じ物かどうか、確認する必要があるってことです。

An. : 見た目が同じでも、中身が違っていたり・・・・・・。
Dr. : ですから私たちは、中国の天目山のスギのサンプルと、屋久島の屋久スギのサンプルとを採取し、DNA分析をしたんです。

An. : ウッソー!
Dr. : そしたら、両国のスギの遺伝子同一度は0.97、ひらたく言うと 97%同じ物であって、双子ではないけど兄弟であることが、判りました。

An. : でも三好先生、中国と日本との間には、冬景色の日本海が横たわっていますよ。海を隔てて、兄弟スギの生き別れなんて、江澤には信じられません。

Dr. : 「事実は小説よりも奇なり」って言葉もあります。
  次回の放送で、そのナゾを説き明かしますからね。江澤ワトソン君、三好ホームズの謎解きを、お楽しみに。
An.: あと1週間も待つんですか?
  江澤は待ち切れないような、ますますワクワクするような、不思議な気分です。
  来週、楽しみにしてますからね!

中国のスギはいずこより

An.: 前回のお話では、日本特有と考えられていたスギ花粉症は中国にも見られるらしい、しかもその原因となるスギも、日本と中国で兄弟スギが生えているらしい、という内容を伺いました。
  この1週間、江澤は必死で考えたんですけど、日本海の逆巻く波を乗り越えてまで、日本と中国のスギが兄弟だったナゾが、やはり判りません。
  三好先生、ナゾ解きをどうぞ!!
Dr. : 答は、すごく簡単なんです。

An.: ウッソー!
Dr.: そもそも、スギの先祖がこの地上に姿を現したのは、今から200万年前の第三紀鮮新世のことでした。

An. : 三好先生、江澤はまだ生まれていませんでしたよ(笑)。
Dr.: そしてこの、鮮新世の時期から約1万年前まで、地球は氷河期でした。このため、この氷河で日本と当時の中国とは、陸続きだったんです。

An.: ホントー?
Dr.: だって日本では、大陸に棲んでいたマンモスやナウマン像の化石が、時々発掘されますよね。もしもかれらが、自分の足で歩いて大陸から日本までやって来たんだとしたら、そこは地続きだったとしか考えられません。

An.: エーッ!  江澤の常識が、全部ひっくりかえりました。
Dr.: 1万年前に氷河期が終わり、温暖化が進むと氷河が溶けて海面の水位が上がり、それまで湖だったところが大きく拡がって、日本海となります。 こうして出来上がった日本海のために、日本と中国に跨がって生えていたスギは、まるで当初から別々の国に勝手に生えていたかのように、錯覚されます。
  でも実際は、これら両国のスギは、当初陸地だった日本海を間に、日本と中国と連続して生えていたんです。その後で、日本海が現在の状態になったものですから。
 それで、日本と中国に兄弟スギが、生き別れ・・・・・・。

Dr.: 一見、まるで別々に生えていたように、見えるんです。
An.: そんなスゴイことが、実際にあったんですか?
Dr.: それどころか、江澤さん。この時期人類は、氷河で陸地となった地球の上を、歩いて南米の端っこまで到達してるんです。

An.: 三好先生、冗談ばっかり。
Dr.: 学説にも依るんですけど、人類の起源の1つがアフリカにあるのは、確からしいんです。そしてその人類は、アフリカからユーラシアを歩いて、オーストラリアや日本、そして陸続きだったベーリング海峡から北アメリカへと、移住します。

An.: どうして、そんなことが?
Dr.: 食物となる獲物を追って、自然に移動したと考えられています。

An.: 観光旅行じゃ、なかったみたいですね。
Dr.: で、北アメリカまで移動したグループの一部は、そのまま南下して中南米へ向かったとされています。
  江澤さん、今の日本でも青二才とかまだまだ若い人のことを、「尻が青い」みたいな呼び方をするでしょう?
  それは、何故でしょうか。

An.: 判りました三好先生、日本人の赤ちゃんは、お尻が青いからです。
Dr.: これを「蒙古斑」と言って、アジア系民族の特徴とされています。
  そしてこの「蒙古斑」、中南米の現地人にも観察されるんだそうで、それはつまり彼らがアジア系の人種であることの証明なんだそうです。

An. : それって・・・・・・、もしかしたらアジアから歩いて中南米まで、人類が歩いて行った証拠じゃないんですか?
Dr.: 江澤さん、まさかとは思いますが江澤さんは、それ目の前で見ていたんじゃあないでしょうね?

An.: 三好先生は、どうしてそれを知っているんですか(笑)。
Dr.: 江澤の、サエわたる第六感のおこぼれ、ですよ(笑)。
 それはともかくこの時代、氷河期のためにマンモスやナウマン像だけでなく、人類まで陸続きの世界各地を移動していたわけです。ですから、日本海がまだ湖でいわば日本湖だった当時、スギやヒノキも地続きに日本・中国と連続して生えていた。そう理解するのは当然です。
 そして氷河期終了後の温暖化期には、海面の水位が上がり日本海ができたので、両国のスギ・ヒノキは兄弟なのに、生き別れになってしまった。そういう物語が潜んでいたんです。

An.: それで、中国にもスギ・ヒノキが生えていて、日本と同様花粉症を引き起こしている。
そうなんですね?
Dr.: 私たちは1998年に、世界で初めて、日本以外の国におけるスギ花粉症の症例を、発見しました。
  女の人だったんですけれど、10年前に、南京市の中山陵つまり孫文のお墓のある公園地区、そこはすごく緑の木々の多い地域なんですけど、その中で遊んでいたらくしゃみ・鼻みず・鼻づまりが止まらなくなったんです。最初、それは春と秋だけだったのに、徐々に1年中続くようになって、98年南京医科大学耳鼻科を訪れました。

An.: 南京医科大学って、三好先生が客員教授してるとこですよね?
Dr.: 私たちはそこでその女性に、日本製のスギ・エキスを使ってアレルギーのテストをしました。
  そしたら見事にこの女性は、スギ・エキスでアレルギー反応を起こしてしまいましてね、正真正銘のスギ花粉症、それも日本以外の国における世界で初めての症例であることが、判りました。

An.: 世界初、なんですね(笑)。
  江澤も一度で良いから、そんな体験をしてみたいです。
Dr.: それでは逆に、日本人のスギ花粉症の人は、柳杉つまり中国産スギで花粉症を起こすでしょうか?
  次回の放送は、そのナゾを追求し、とうとう証明してしまった、そんなお話をします。

An.: リスナーの皆さん、またまた世界初の発見のお話ですよ!
  絶対に聞き逃さないでくださいね!!
  三好先生、私まで、それが今から楽しみで、一睡もできそうにありません。
  三好先生のお話、楽しみにしていますよ♡

つづく


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