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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

ポリスはおまわり、ピアスはおまもり?


季節的な春とともに人生の春を迎える若い人たち。そんな青春さんたちにピアスが大人気です。

その人気のピアスを、鎌倉の大仏様も耳につけていたと言ったら、信用してもらえるでしょうか。実際鎌倉大仏を見ると、耳たぶにおおきな穴が開いています。もしこれがピアスの穴だとしたら、大仏様がピアスをしている理由は何でしょう。

ピアスにはもともとお守りだった、との説があります。そして人体内に魔物の入り込むのは、各種の穴の開いている部分です。耳の穴、鼻の穴、口、などの。

そもそも人間が病気になるのは、外界から魔物など悪さをする得たいの知れないものが体の中に忍び込むためだ、との原始信仰がありました。

ですから病気の治療法としてヒマシ油を飲ませて下痢を誘発させる、あるいは瀉血をして血液を外に流しだしてしまう、そんな方法もありました。

それに対して魔物を入り口から中に入れない、予防的な魔除けを用いる信仰だってあります。家屋の玄関にお札を貼るなど、これは今でもポピュラーです。

お札を別にすると、一般的に魔除けには貴金属や宝石の使用されることが多いと考えられます。それは太陽や火などに代表される光り輝く物体には、魔物の住む闇を切り裂く力があると、信じられていることにも因るようです。こうして見ると人がピアスを耳に着けたがるのは、人の精神の根底にある原始信仰とどこかで通じあっているような、そんな気もします。耳の穴は人体の内部に通じる入り口の一つであって、魔物がそこから中に入る危険がある。だからそこには、魔除けの貴金属や宝石を備えておかなければならない。そういう原始信仰の名残が、あるのではないでしょうか。鼻や舌にピアスをしたがる理屈も、それで説明がつきます。

古い仏像などには、原始信仰の紛れ込んだ形跡も少なくないものです。鎌倉の大仏様の耳たぶの穴も、魔除けのピアスの名残かもしれません。

一方「眠りの森の美女」ではありませんが、妙齢の女性には「魔が魅入る」こともあると想像されています。青春の女性は自ら身を守ろうと、本能的にピアスを着けるのでしょうか?
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく泉4月号(平成9年3月26日)掲載
 
ピアストラブルについてはコミック「ピアストラブル殺人事件」もご覧下さい。
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