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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

突発性難聴(2)


突発性難聴というそんなに珍しくない疾患について、最近改めて興味を持つようになりました。それは突発性難聴と勘違いしそうになった症例の中に、聴神経腫瘍を時に見かけるようになったせいです。

聴神経腫瘍は、脳から出ている12の脳神経の一つである聴神経にできる良性の腫瘍です。主に、内耳道という耳から頭蓋内に通じている穴の中で発生し、徐々に大きくなります。

良性の腫瘍ですから移転したりすることもなく、ゆっくりと進行する難聴やめまいの原因となることがあります。また、早期発見がなされた場合には、三叉神経など周辺に存在する神経を圧迫してその症状を出したりもします。

さらに、頭蓋という容量の限られたスペースの中で大きくなる関係上、脳のほかの部分を間接的に圧迫して症状を出したりすることもあります。

こうした脳の良性腫瘍としての症状が、順番に出現するのが聴神経腫瘍の特徴とされたことも、以前はありました。

けれども最近のCTやMRIの普及に伴って、比較的早期に発見されることが多くなり、症状が出揃ったり、それほど大きくなってからの診断は、稀になりました。

とはいえ、聴神経腫瘍はやはり珍しい病気であって、日常の診療でそんなにお目にかかることは無いものと考えられていました。正直、私自身もそのように信じていた面があります。

ところが実際の突発性難聴の症例について、MRIを撮影してみると早期の症神経腫瘍の例が、時折見つかるのです。

そのような聴神経腫瘍の最初の1例は、43歳の男性でした。

この方は1996年7月28日に、突然セミの泣くようなジージーという右側の耳鳴りの出現とともに、聞こえがすごく悪くなりました。翌日当院を受診した折には、聴覚検査で右側の高度難聴を示しており、左へ向う回転性のめまいがはっきりと見て取れました。

脳外科に紹介して撮影したMRIでは、白い腫瘍が小脳の脇に写っており、紛れもなく聴神経腫瘍による突然の難聴とめまいであることが判明しました。

そしてこれ以降、気を付けているせいでしょうか。聴神経腫瘍の症例を時に見かけるのです。
 
河北新報 週間るぽ 北部版 第137号 1998年9月21日

関連リンク: 院長著作コミック「難聴・早期発見伝」
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