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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

滲出性中耳炎(4)


本格的に寒くなって「泉降ろし」の吹き始めるころ子どもたちは風邪をひき、また耳の悪くなることがあります。

風邪をひいていた子どもが突然耳の痛みを訴えたら、それは急性中耳炎を考えます。そこまでいかないまでも、寒い時期には以前から存在した滲出性中耳炎が悪化し、だいぶ聞こえの悪くなることもあります。

それはやはり子どもがちょっぴり風邪気味だったり、何か体調を崩していたときに多いのですが、(1)後ろから名前を呼んでも振り返らない、(2)テレビの音量を上げがちになる、あるいはBやたらにテレビのそばににじり寄るなどの行動が見られます。急性中耳炎のような激痛は生じないのですが、チクチクする痛みを訴えることもあります。

風邪を子どもにひかせないのが一番ですが、なかなかそうもいきません。子どもは風邪の子、と冗談を言いたくなるくらい、幼稚園や学校でもらってくることがあります。

滲出性中耳炎がそうした事情から長引き、どうしても聴力の回復しない場合、中耳腔(鼓膜の内側のスペース)の液体を排泄してやる目的で、鼓膜にチューブを挿入することがあります。滲出性中耳炎は耳管というのどと中耳腔を結ぶ管がつまり、中耳腔の換気がうまくいかないときに起こります。治療には耳管を通じた中耳腔の換気が必要で、以前お話したような耳管通気が行なわれます。ただし風邪をこじらせやすい子どもの滲出性中耳炎など、悪化しがちでてこずる場合にチューブ挿入が考慮されます。

部屋の換気もそうですが、部屋の一方のドアだけが開いていても部屋全体の空気の入れ替えは、スムーズではありません。もう一方に位置する窓も開いていると空気は部屋全体を吹き抜け、全体の換気も容易です。中耳腔も同じ原理で、ドアに同等する耳管のみ開いていても腔の換気は万全でないことがあります。そのため窓にたとえられる鼓膜にチューブを挿入すると、空気は耳管から中耳腔そして鼓膜のチューブと吹き抜け、腔の換気が促進されるのです。

そんな意味から、あんまり風邪をこじらせて滲出性中耳炎のスッキリ良くならない子どもには、鼓膜にチューブを挿入する処置を考えるのも一つの方法なのです。

子どもさんの中耳炎にお困りのお母さんは、一度ぜひ主治医にご相談なさることをお勧めします。
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく泉1月号(平成8年12月31日)掲載
中耳炎については、コミック『中耳炎世界の冒険』でもご紹介しています。
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