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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

滲出性中耳炎(3)


滲出性中耳炎ではそれでは水泳は、どうなのでしょう。楽しい夏休みが来て、子どもたちはみんな海にプールにスイミングを楽しんでいるときに、滲出性中耳炎の子どもはそれらを全て諦めねばならないのでしょうか?

中耳炎には3種類あると、言いました。(1)子どもで風邪の後などに突然耳の痛くなる急性中耳炎、(2)子どものころから耳の聞こえが悪くときどき耳だれの出る慢性中耳炎、そして(3)滲出性中耳炎がそれです。これらのうち絶対に水泳を禁止せねばならないのは、(1)の急性中耳炎と(2)の慢性中耳炎の耳だれの出ているときです。この2つの場合には感染がありますから、スイミングは中耳炎の悪化をもたらします。プールや海は控えるべきです。

それに対し滲出性中耳炎では、いくつかのケースが考えられます。

(a) 滲出性中耳炎があるというだけで、鼓膜穿孔もなく保存的治療(前回ご説明した各種の耳管処置です)のみの場合。
(b) 滲出性中耳炎の治療のために鼓膜に切開の加えられた直後。
(c) 中耳腔換気のあめのチューブが挿入されている場合(機を見てご説明します)。
(d) チューブ挿入後風邪をひいたりして感染を生じ、膿の出ている場合。

こうした(a)〜(d)では、感染との関係で(b)と(d)が水泳禁止です。それに対し(a)では、スイミングを禁じる理由がありません。問題は(c)です。水泳は、禁止されるべきでしょうか?

滲出性中耳炎の治療にあたっている耳鼻科医たちが、この問題に関しどう考えているのかについて、私たちは全国的にアンケート調査を実施しました。すると全238回答中、水泳を前面禁止としたのは、約3割の78回答だけでした。耳鼻科医のほとんどは、条件付で水泳を許可しているのです。なおその場合の条件としては、耳栓の装用や耳栓と水泳キャップの併用を挙げる耳鼻科医が、約7割に達しています。それ以外の条件では、潜水の禁止が4割、飛び込み禁止が1割、風邪の場合禁止1割5分、などです。

推薦する耳栓としては、イヤー・パティと呼ばれるやわらかいシリコーン製を勧める意見が多く見られました。

つまりチューブの挿入された滲出性中耳炎でも感染が無ければ耳栓とキャップを使用して水泳は可能、ということのようです。もちろん各個人の耳の状態と水泳の適否については、主治医にご相談頂くべきですけれども。
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく泉7月号(平成8年6月26日)掲載
中耳炎については、コミック『中耳炎世界の冒険』でもご紹介しています。
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