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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

滲出性中耳炎(2)


滲出性中耳炎の治療は、鼓膜の内側(中耳腔)に溜まっている炎症性の液体の除去が目標です。この液体は鼓膜の動きを邪魔しており、耳に入った音が鼓膜にうまく伝わりません。その結果聞こえの悪くなるのが、滲出性中耳炎の本態だからです。

そしてその液体の貯留するのは、耳管(内耳腔とのどや鼻の奥をつないでいる管です)という管の機能が低下しているときです。本来なら耳管は、時々開いて鼓膜内外の気圧を等しくする働きをしたり、中耳腔貯留液をのどへと排泄させてやる任務を負っています。しかし、例えば風邪などでこうしたシステムが完全に機能しないと、滲出性中耳炎は治りにくくなります。

また子どもでは、のどに開いている耳管の入口(耳管咽頭口といいます)付近に、リンパ組織の一種であるアデノイドが存在します。このアデノイドは子どもが4〜5歳の時期に最大となり、耳管咽頭口を閉鎖します。このため耳管がうまく開かず、この年齢の子どもは滲出性中耳炎になりやすいものです。ただアデノイドはこの年齢を過ぎると小さくなるのが普通で、アデノイドに原因のある滲出性中耳炎もそれに伴い少なくなるものです。

ただし、子どもの耳は大人と違い小さいために、のどの炎症をただちに反映することがあります、風邪などの影響でのどの粘膜が腫れ炎症が中耳腔内に生じると、滲出液も再び貯留してしまいます。子どもの中耳炎はくせになりやすいといわれますが、それはそんな事情によるものです。

滲出性中耳炎の治療で耳管の機能を改善させるには、大人では耳管の入口に金属のカテーテル(管)をあてがって、空気を耳管内に送り込む方法が選択されます。耳管を通して、中耳腔内の強制換気をはかるわけです。子どもではそれは痛みを伴いますので、ほかの手法が使用されます。

それは例えば、ポリッツェル球というゴム球を鼻に入口にあてがって鼻腔に空気を送り込む方法やネブライザーをしながら水やジュースを飲み強い圧を鼻腔に加える方法です。これらはいずれも、鼻腔を通じて耳管の中に空気を入れてやり最終的に中耳腔の換気を促進するやり方です。

滲出性中耳炎は、その初期に適切な治療がなされると近いうちに治癒します。けれども、風邪などをこじらせると滲出性中耳炎も長引きます。初期の対策が重要なのです。
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく泉7月号(平成8年6月26日)掲載
中耳炎については、コミック『中耳炎世界の冒険』でもご紹介しています。
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