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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

滲出性中耳炎(1)


学校健診のシーズンがやってきました。この健診ではふだん気付かない、思わぬ病気が発見されることも多く、健診結果の通知表を持って耳鼻科を受診する子どもの姿がよく見られます。

そんな病気の一つで、対応にとまどう疾患に滲出性中耳炎があります。だってそもそも、滲出性中耳炎ってなんでしょう?

中耳炎には大きく分けて3種類あります。子どもで風邪などのあとに突然耳の痛くなる(1)「急性中耳炎」、子どものころから耳の聞こえが悪くときどき耳だれの出る(2)「慢性中耳炎」、そしてこの(3)「滲出性中耳炎」がそれです。

滲出性中耳炎は、鼓膜の内側(内耳腔といいます)に水みたいな炎症性の液体の溜まっている状態です。この中耳炎ではあまり痛むことはないのですが、後述の機序から鼓膜の動きが低下するために聞こえが悪くなり、耳が塞がったような変な感じがします。ちょうど高い山に登ったときみたいな不愉快な圧迫感が耳にあって、チクチク痛むこともあるようです。

滲出性中耳炎は、その存在に気付かれずに放置されると聞こえの悪化が進行します。すると学校で先生の声が聞き取れずに成績が下がったり、友だちとの会話がスムーズにいかず寂しい思いをしたり、意外なことが起こります。

急性中耳炎の項(マイタウンかほく・昨年12月号)でご説明しましたが、中耳炎ではのどの奥と中耳腔を結んでいる耳管という管に原因があって、中耳腔に炎症が生じています。耳管はふだんは閉じているのが普通で、あくびや嚥下(えんげ)に際して開きます。この作用のために耳の鼓膜はその内外の気圧が等しく、外から入ってくる音を敏感に捉えて振動します。鼓膜のこうした動きが良好なほど、当然耳の聞こえは良いわけです。ところが滲出性中耳炎では、中耳腔に貯留した液体のために鼓膜の振動が制限されますので、どうしても聞こえはにぶくなりがちです。そしてその鼓膜可動性低下が一層ひどくなるのは、耳管の開閉がスムーズにいかないために耳管本来の機能、つまり鼓膜内外の気圧を等しくする作用が衰えるから、と考えられます。

ですから滲出性中耳炎の治療では、耳管機能を改善し鼓膜内外の気圧を正常化することと、耳管を通じた中耳腔貯留液の排泄が基本です。

次回その実際について、ご説明します。
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく泉6月号(平成8年5月29日)掲載
中耳炎については、コミック『中耳炎世界の冒険』でもご紹介しています。
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