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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

スキューバダイビングと耳痛


夏です!待ちかねたダイバーたちは颯爽とダイビングにでかけます。青く透明な海の中、まるで魚のように深く潜る彼らですが、突然、耳の痛みが襲います。余りの激痛にダイバーは思わず耳をおさえてうめきます。この耳の痛みはいったい何でしょう。

耳の中の鼓膜は本当に薄い膜で通常、内外の気圧が均等に保たれています。ところがこの圧に突然差が生じると、鼓膜は強く圧迫されひどく痛むのです。それは、あの急性中耳炎のことを考えて頂けば判ります。急性中耳炎では、最近がのどの奥から耳管を通じて耳の中へ入り、鼓膜内側の内耳腔に膿が溜まってしまうのです。この際膿の量がすごく多いと、鼓膜は外側へ向けて圧迫され緊張状態となり、これが耳痛の原因となるのです。

ダイビングでは深く潜水するにすれて水圧が上がり、鼓膜は内側に圧迫され、緊張状態となり、痛みます。先に述べた潜水深度を増したときの耳の痛みは、この機序によるものです。

ダイバーは通常この耳痛を防ぐ目的で、耳抜きと称する動作をします。これは鼻を摘んで強く息むもので、正式には「ヴァルサルヴァ法」といいます。これにより鼓膜内側の気圧が高まり、内外の圧差は消失します。鼓膜の緊張状態も解消し、痛みもなくなってしまうのです。これらダイビングの耳通とその解決法は先に述べた耳管の働きと関わっています。この耳管はのどの奥と中耳腔とをつないでおり、鼓膜内外の気圧調節与っています。耳管が良く機能し中耳腔の空気がうまく入れ替え(換気)できているときには鼓膜内外の気圧は均等に保たれます。換気の良い場合には鼓膜が緊張状態になることもなく、したがって耳の痛みは発生しません。けれども鼻やのどに炎症があってそれが耳管に波及、耳管が腫れていると耳管を通じての中耳腔換気はうまくいきません。

先述のようにダイビングの耳通では急性中耳炎と逆に、深度と共に増加する水圧が鼓膜を内側に圧します。鼓膜は強い緊張状態となり、ひどく痛みます。鼓膜内外の気圧調節が役立つのは、そんな瞬間です。耳管を通して空気が中耳腔へ送り込まれれば、鼓膜の緊張は消失し、痛みもまるでうそのようになくなります。その耳管を通じての気圧調節手段が先に触れたヴァルサルヴァ法なのです。けれども鼻やのどに炎症があり耳管の腫れているときには、耳抜きは決してうまく行きません。潜水時のひどい耳の痛みが、どうしても解消しないのです。ダイビング前に耳や鼻の病気をチェックしなければならないのは、そんな理由からです。どうぞくれぐれもご用心!
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)

河北新報 マイタウンかほく8月号(平成7年7月26日)掲載

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