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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

 

耳の下のはれ

耳の下にはだ液(つば)を分泌するだ液腺(せん)の一種、耳下腺があります。耳の下がはれた場合、一般にこの耳下腺の腫脹(しゅちょう)あるいはこの部分のリンパ節のはれを考えます。

おたふくかぜ疑って

子供が耳の下をぷっくりはらすときには、真っ先にいわゆるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を疑います。おたふくかぜはムンプスウイルスの感染によるもので、片方ずつあるいは両方の耳下腺がはれます。一度これに感染すると、ほぼ完全な免疫ができますので、繰り返すことはありません。15歳ころまでにこの免疫を獲得するものです。

おたふくかぜは地域で広く流行しますから、そんなときにそれらしい症状があれば、診断は容易です。病気の経過が順調なら、かかりつけの医師の指示に従い、自宅安静を守らせてください。大体1週間から10日間くらいで、はれは治まります。

ただ耳鼻科的には、ごくまれに内耳が侵され難聴を生じることもあります。聞こえの悪さ、耳鳴り、めまいには、十分注意を払ってください。

子供で時々、繰り返し繰り返し耳下腺をはらすことがあり、おたふくかぜの反復と勘違いされます。けれど、これは反復性耳下腺炎もしくはだ液管末端拡張症と称し、細菌感染によるものです。

多くはむし歯など口腔(くう)内感染巣の菌が、だ液を出す管を通って耳下腺に入り、化膿(のう)するのです。かなりはれてずいぶん痛みますので、抗生物質や消炎鎮痛剤の投与が必要となります。

口腔内の清浄を

あまり痛みのひどい子供では、予防策としてだ液の分泌を十分に確保し、加えて口腔内の清浄を保つ必要があります。ですから、むし歯の治療も重要です。なお、われわれはさまざまの予防策が無駄だった本疾患の子供に、だ液をだしやすくするトローチを投与し、症状を完全に抑えることができた、そんな経験を持っています。耳下腺には、良性腫瘍(しゅよう)と悪性腫瘍のいずれも、できることがあります。耳下腺の内部には顔面神経が走行していますから、悪性の腫瘍では神経が侵され、顔が曲がってしまうこともあります。耳下腺腫瘍は、大きくなるとまるで瘤(こぶ)のように見えることがあります。昔話に出てくる"こぶ取りじいさん"は、実は耳下腺腫瘍の症例だったのかも、との推論もあるようです

ところであまり皮下脂肪が厚いと、つまり太っていると、耳下部の脂肪が一見腫瘍のように見えることもあります。けれどもこれは"小太り(こぶとり)じいさん"であって、病気ではありません。

(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長)


関連リンク: みみ、はな、のどの検査・処置 (口腔や舌のできもの2)
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