3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

めまい(6)


めまいのときには、両側内耳のうち片方の異常放電もしくは機能低下が存在していて、体が片方に寄って行ってしまう現象(偏倚)が見られる、とお話しました。そして、もしもそのままだと人体は転倒してしまうはずなのに、立ち直り反射がそれを防いでいるので倒れてしまうことはない、とご説明しました。

さらに「目舞い」と表現されるようにめまいでは、体そのものの偏倚と立ち直り反射だけでなく、眼球の異常運動が出現することになる、ともお話しました。

こうした眼球の異常な運動はめまいのある人の目を外から良く見ていると、体の偏倚と同じ方向にゆっくりと傾き、急激に反対側へピクッと戻る動きとして観察されます。

これはつまり、眼球に表れた偏倚と立ち直り反射であって、片側内耳の病変による刺激のせいで体全体と同様、眼球も一側へ向って偏倚します。この眼球はもしも眼窩内に納まっているのでなければ、偏倚の方向に向けて三六十度グルッと回るのかも知れませんが(一度見てみたいような気はします)、現実にはそれはあり得ません。立ち直り反射によって一旦元の位置まで戻らなければ、眼球は回転し続けることが不可能です。

ですからめまいのあるときに端から目玉を見ていると、目は一方に向かってゆっくりと動き、ついでその反対方向へ向けて急激にピクッと動きます。これらのうちゆっくりした動きが偏倚現象の表れであり、ピクッという急速な動きで立ち直り反射の結果です。
めまいは「目舞い」であると私がお話した、最大の根拠がこれです。つまりめまいのあるときには、多くの場合眼球のこうした律動が見られるもので、これを眼球振盪(眼振、ニスタグムス)と称します。この際、眼球の急速な動きの方向がめまいの自覚的回転方向と同じであるところから、急速相の方向を眼振の向きとして記録します。

具体的に言うと、目玉が右から左へゆっくりと傾き、ついで急激に左から右へピクッと動いた場合には、右向きの眼振があると表現するわけです。このとき、眼球が右から左へ回転するので、本人の視界は左から右へ向けてゆっくりと移動します、すなわち、右向き眼振の方向と外界が右へ移動する自覚的なめまいの方向とは同一になることが判ります。

これこそがめまいにおいて眼振の重要視される、もっとも大きな理由なのです。
 
河北新報 マイタウンかほく泉2月号(平成10年1月28日)
めまいについては、コミック『さつきさんの憂鬱』でもご紹介しています。
症状用語索引 詳細用語もご利用下さい。
症状用語索引 めまい
トップページへ もどる