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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

 

味覚障害

味覚にも、検知と認知とがあります。それはつまり、味のすることが分かるかどうか(検知)、何の味か判定できるか否か(認知)、ということです。そして聴覚や視覚ではこの検知と認知が、大脳皮質において、それをつかさどる領野の分かれていることが知られていました。それに対して嗅覚(きゅうかく)、味覚では、この両者の領野が別なのか分化していないのか、分かっていなかったのです。

この点に関しわれわれは、中枢神経の中でも大脳皮質へ行く味覚の神経が必ず通過する、視床という脳の一部の疾患7例を検査しました。その結果これらのうち4例で、検知域値と認知域値が異なることを発見しました。
それはつまり、大脳皮質で味覚の検知領野と認知領野とが分かれていることを、示唆しています。

これら特殊な味覚障害はともかくとして、一般に多く見られる味覚障害は血清亜鉛値の低下によるものです。これは味覚にかかわる重要な微量金属・亜鉛の、摂取不足か過剰排せつによって生じます。

摂取不足は例えば偏食で生じますし、排せつ過剰は薬剤性の場合にみられます。つまりある種の薬剤を内服すると、それが体外に排せつされる際に亜鉛と結合し、そのまま一緒に出てしまうのです。この薬剤性味覚障害は、近年に特に多く報告されるようになりました。

亜鉛不足による味覚障害の治療は亜鉛の補充ですが、薬剤性の場合その薬剤の中が前提です。亜鉛を補うには、硫酸亜鉛製剤の内服を行ないます。ただし、この製剤は飲みにくいのが難点です。その意味で最近では、海藻を濃縮加工した栄養補助食品が発売され、亜鉛の補充はしやすくなりました。

とはいえ亜鉛摂取は、食事によって行なうのが理想です。亜鉛の多量に含まれている食品の献立への導入を、真剣に考えていただきたいと思います。食事量そのものが少なく、結果的に偏食となりがちな老人では、なおさらのことです。

ちなみに亜鉛の多く含まれている食品は、カキ、レバー、魚、海藻、卵黄、シイタケなどです。多少好みの分かれる食品もあり、メニューの工夫が必要でしょうけれど。

味覚は嗅覚と並んで"より生命に近い感覚"と呼ばれ、個体保存・種族保存にかかわっています。従って生命力の低下と考えられるデプレッション(うつ病)のときに、嗅覚、味覚の鈍くなることがあります。

全身的な不定愁訴(捕らえどころのない漠然とした体調の悪さ)があり、味覚・嗅覚障害が生じたら、デプレッションにご用心、です。

(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長)


関連リンク: 院長著作コミック「味気ない世界の中心で」
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