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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

カモガヤ花粉症


先月、岡山大学耳鼻咽喉科学教室から特別講演のご招待を受け、鼻アレルギー研究の現状についてお話して来ました。

講演後のディスカッションで、岡山大の若手研究者からおもしろい話を聞きました。岡山など山陽地方では、カモガヤの花粉症が非常に多いのだそうです。しかも、このカモガヤ花粉症は比較的若年より発症していることも少なくはなく、学童に多発するのも特徴の一つなのだとのことです。

この話から、こんなことが判ります。

(1)牧草として明治初期に日本に輸入されたカモガヤが、北海道から日本全国に拡がって山陽地方でも話題になっていること。
私たちの調査でも、北海道白老町(全国の競走馬の産地として有名な社台地区を有する)でカモガヤの花粉症は多く見られますが、栃木県栗山村(日光国立公園内に位置する)でも白老に次ぐ頻度で観察されます。
ちなみに日本ではなく、中国の南京医科大学生に対する調査でも、カモガヤのテストの反応率は決して低くありませんでした。

(2)通常花粉症は成人に近くなってから発症することが多いが、カモガヤは例外らしいこと。
スギ花粉症などでもそうですが、ダニなど通年製(1年中存在する)アレルゲンと較べ花粉症(季節性)のそれは、年に1回しか子どもたちに接触しません。ダニなどのアレルゲンに比較し、花粉は人体に接触する時間が短くアレルギーとなるまで、長い時間が必要なのです。カモガヤだけ、なぜ学童期から発症するのでしょう。

それは直接子どもたちと話をしてみると、理由が判ります。子どもたちは学校の行き帰りに、道端に生えているカモガヤを手折りそれをおもちゃにして遊んでいるのです。もちろんそれが花粉症の原因となることなど、まるで知らずに。そう言えば、長野県における学童のカモガヤ花粉症多発の原因は、カモガヤ花粉飛散の時期に「お田植え休み」という長野県特有の休暇があり、その間に濃厚な花粉の曝露(ばくろ)を受けるのが理由だと、聞きました。南京医科大学でも「オレ、小さいころカモガヤを蹴っ飛ばして遊んだよ」という若手医師が現れ、その理由を推測できたものです。

もしかすると、洋の東西を問わずカモガヤ花粉症は学童期から多く、それは子どもたちがカモガヤをおもちゃにして遊ぶから、かも知れません。
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく泉5月号(平成8年4月24日)掲載
花粉症・アレルギーについては、『スギ花粉症』コミック『愛しのダニ・ボーイ』でもご紹介しています。
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