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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

女性の鼻アレルギー


鼻アレルギーに男女格差がある、と言ったらこれをお読みの皆様はびっくりなさるでしょうか。格差というのは冗談ですが、たしかに鼻アレルギーに症状は男女で異なります。

その一番具体的な例が、妊娠中の女性の鼻アレルギー症状の増悪です。鼻アレルギーのある女性が妊娠すると、ハタ目にも哀れなくらいくしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどくなります。また妊娠すると、それまでははっきりしなかったアレルギーの臨床症状が突然明確となり、典型的な鼻アレルギーとなる方も少なくありません。

不思議なことにこの妊娠中の鼻アレルギー症状増悪は、理由がはっきりしていないのです。はなの粘膜の女性ホルモンの分布が普段とは異なり、発作の増悪に関与しているのだろうとも推測されるのですが、立証は困難なようです。

唯一考えられるのは、妊娠によって体内の血液の静脈環流が悪くなり、全身的にうっ血が生じるので鼻粘膜にも血液がたまってしまい、鼻づまりが起こるのだろうということです、妊娠中、例えばありがむくみやすくなることなどを思い浮かべれば、それは理解できます。

けれども鼻アレルギーの男女差は、それだけではありません。ほかにも例えば小中学生では、鼻アレルギーが男子に圧倒的に多いとの特色も見られます。私たちが北海道白老町の小中学生2677例に施行した89〜91年度の学校検診では、男子の鼻アレルギー有病率が5・3%で、女子のそれが3・8%でした。

この小中学生の鼻アレルギー有病率の男女差についても、鼻の粘膜の過敏性が男の子と女の子では違い、そのために有病率に男女差が見られるのではいか、との推論もあります。しかし、この2677例に実施したスクラッチテスト(アレルギー検査の一種)では、男子の陽性率が43・0%で、女子の陽性率が29.0%でした。

つまり、鼻アレルギーの男女差は、鼻粘膜に原因があるのではなく、アレルギーの発生機序そのものに男女の相違があるのかもしれないのです。妊娠中の鼻アレルギー症状悪化も、鼻粘膜局所の問題ではないのかとも想像します。

ともあれ、妊娠中の鼻アレルギー症状増悪は、お薬が存分にしようできないので実際大変です。清掃などの抗原除去に、よりいっそうの力を注ぐ必要がありそうです。
 
(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長・南京医科大学耳鼻咽喉科客員教授)
 
河北新報 マイタウンかほく11月号(平成7年10月25日)掲載
花粉症・アレルギーについては、『スギ花粉症』コミック『愛しのダニ・ボーイ』でもご紹介しています。
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