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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

 

カモガヤ花粉症

この原稿を書いている今(6月)、耳鼻咽喉(いんこうか)科外来は、カモガヤ花粉症の皆さんで大にぎわいです。このカモガヤ花粉症、症状はスギの場合と同じで、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりと、目のかゆみ、涙、充血が出現し、典型的な季節性アレルギーの症状を呈します。ただ、スギ花粉症ほど有名でないためか鼻風邪と勘違いされやすく、なかなか耳鼻科医を受診してくださらないことも多いようです。

このカモガヤはもともと日本にあった植物ではなく、明治初期に牧草として日本に輸入され、北海道で多く生育しました。そして戦後牧草が日本全体に広がると同時に、全国に広がりました。その花粉症も、同時に全国的になってたのです。

それでもカモガヤ花粉症は、意外に知られていません。例えば、最近われわれのもとを訪れたカモガヤ花粉症の症例。本例は、愛犬の散歩の度に花や目の症状がひどくなりました。本人はカモガヤ花粉症を知りませんので、てっきり犬に原因があるアレルギーと信じ、愛犬を飼うのをやめようかと、深刻に悩んでいました。

ところがよく話を聞いてみると、本例は犬の散歩のときに雑草の茂みをあちこち突っ切って走っているのです。当然カモガヤの花粉もむやみにけ散らしますので、本人はその花粉を大量に吸い込みます。たちまち花粉症の発作が生じて、それは当然です。それが判明し、この愛犬はその後無罪放免となりました。

さてそれではカモガヤ花粉のアレルギー、具体的にはどれくらいの頻度で発生するのでしょう。三辺武幸・昭和大耳鼻咽喉科助教授を責任者とするわれわれのグループは、カモガヤ花粉症の疫学調査を施行したことがあります。対象は北海道白老町の中学校一年生全員で、238例。調査方法はスクラッチテストという手法で、カモガヤの陽性例は37例(15.5%)でした。

他方、スギ花粉症で有名な日光国立公園内の栃木県栗山村でも、われわれのグループはスギ花粉症の調査を行なっています。その対象例は小学校一年生から中学三年生のほとんど全員で、183例。スギの陽性例はスクラッチテストで、36例(19.7%)でした。

北海道ではスギはまず見られませんが、同地におけるカモガヤは日光のスギに準ずる陽性率を示します。やはりおろそかにできない花粉症だということが、分かります。

カモガヤの花粉症も、スギと同様季節前から抗アレルギー剤の投薬が非常に有効です。カモガヤ花粉症に悩むあなた、来年こそはぜひ予防に心掛けてくださいね。

(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長)

 
花粉症・アレルギーについては、『スギ花粉症』コミック『愛しのダニ・ボーイ』でもご紹介しています。
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