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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

 

うつ病(デプレション)

耳鼻咽喉(いんこう)科を受診する症例の中には、うつ病(デプレション)の例が結構見られます。けれども、なかなかデプレションの診断が難しいことも、少なくありません。それはデプレションが"仮面うつ病"とも称されるほど、多彩な精神身体症状に実体がマスクされるためです。その症状は不定愁訴と表現されることもありますが、これがくせものです。

耳鼻咽喉科領域でデプレショんは、めまい、耳鳴り、嗅覚(きゅうかく)障害、咽喉頭異常感などの背景によく見られます。具体的に述べるならば、それは次のような諸症状を伴います。

まず身体的には、疲れやすい、よく夢を見る、朝早く目が覚める、頭痛、頭重感がある、食欲がないなど。そして精神的には、憂うつで気が沈みがち、何をするのもおっくうで根気がない、朝の方が体の調子が悪く午後の方が良い、性格はきちょうめん、凝り性で物事に熱中する方であるなどです。

困ったことにこれらの症状について、本人さえ耳鼻科的自覚症状との関連に、気付いていないものです。すると耳鼻科医には当然、情報として伝えられません。デプレションでは診断が不的確となりがち、というのはそのような理由からです。耳鼻科的な症状に伴ってこうした精神身体的症状がありましたら、どうかお願いですから、その旨耳鼻科医に教えてください。それが適切な診断と治療への一番の早道です。

なおこのデプレション、あまりなじみのない疾患のような気もします。しかし一般的には例えば、更年期障害や五月病など意外に身近なところに潜んでいます。そして近年やや軽症で、それとは気付かれにくいデプレションの増加が指摘されています。

これはデプレションの背景に、本人の性格的な特性のあることが一つ。そしてその性格の持ち主が、例えば最近の急激な社会的な変化について行けず、不適応となることがもう一つ、かかわっています。

性格的な特性とは、先に触れたような、性格はきちょうめん、凝り性で物事に熱中する方というもので、むしろ望ましい特性とも言えます。ただこういうまじめな人間ほど、状況の急速な変化に戸惑ったり、本人への過大な期待にプレッシャーを感じたりします。その落ち込む先が、デプレションです。

更年期障害も五月病も、内外の環境変化がデプレションをもたらしている、と理解できます。ときにはリラックスも必要ですよ。とそういうまじめ人間には、言ってあげたくなりますね。

(三好 彰:三好耳鼻咽喉科クリニック院長)


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